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めいん










アイリが死んだ。




おれは壊れ行く船長と死に逝くアイリを交互に見てからこれが現実なのかを考えた。




もしかしたら夢オチかとかローの涙の滴かキスで蘇るんじゃないかとか実はまだギリギリ生きているんじゃないかとか考えた。



このまま急いで帰って、ローの腕前で見事にアイリは一命をとりとめた。

そうして2人はめでたく結ばれてジ・エンド。








なんて。
もう希望でしかない。














ドフラミンゴが手を引いたまでは良かったんだ。全くもって問題なし。オールオッケー。



だが「見逃してやるよ」的な上から目線に耐えられなかったのだろう。



やたらと高いプライドを見事に傷つけられた船長はドフラミンゴに食らいついた。待てよ、と言って引き留めてしまったのだ。


しかし、それが間違いなのかどうかはおれには判断しかねる。




ローの判断が全てだから。




結果、ドフラミンゴの方もギリギリ堪えていたのかあそこまで殺気だった彼を見たのは後にも先にもこれが最後だろう。



この先に彼を見ることもないだろうがな。




ドフラミンゴは船長に向かって手をつき出した。


うちの船長にも敗けをとらない不思議な指使いで空中を裂いたかと思えば、船長は動かなくなった。




正確には動けなかったのだろう。




身を持って体験済のあの能力はいつ思い返しても辟易してしまう。


身体が勝手に動き、自分の言うことを聞かなくなる。




それが嫌だ。
嫌だけれど抗えはしない。



そんな感じで「あぁ、もう駄目だ」と思った瞬間に絶望を叩きつけられる。




多分、今回の船長は絶望どころの話じゃないとは思うが。



だって、あれだけ依存しあっていたのだから。





駄目だとアイリが叫んでドフラミンゴが刀を構えて。



凶器は船長の刀。
これは更に痛手だろう。



刀が船長に刺さる前にアイリが飛び出していった。



彼を庇うようにして。








刀は見事に彼女の脇腹を貫いた。













しばらく、全員の時が止まっていたがアイリだけが悠長に笑っていた。




死ぬ張本人なのにな。













彼女の最期の言葉は『愛してる。さよなら』と。





















『またね』


































あぁ、そうか。
これは現実だったのか?



ようやく気付いた。











 

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あきゅろす。
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