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めいん





「こ、っのガキ……!」



乱闘をはじめて数十分。ようやくおれはアイリの捕獲に成功した。



逃げられないようにしっかりと両手を抑え、上から覆い被さるようにして体重をかける。


いくら細いと言われようが、おれは男だ。アイリは勝てないと悟ったのか、抵抗するのを止めてただ黙っていた。



息を整えて、悪態をつく。



「手間かけさせんじゃねえよ」

『ハートの海賊団の船長ともあろう方が、少女ひとり捕まえるのに一苦労ですか』



下にいる彼女は悠々と更なる悪態さえ吐いてみせたのだから、一度殴ってやろうかと思い少女の瞳を静かに睨んだ。



……けれど、その瞳に吸い込まれそうになったのはおれの方だった。



月色の、満月のような双眸。

腰まである雑じり気のない銀髪。

白く抜けるような肌は、あまりに儚げ。

淡い桃色に色付くうすい唇。

自分の身体にすっぽりと隠れてしまうような、細くてちいさな身体。





はだけたワンピースからのぞく白い脚が、紅潮して朱くなったその白桃のような頬が。



おれは、はじめて何かを心から美しいと思った。



























バタッ、ガタタン!
激しい物音。



「やっぱり船長室からだね」

「どうするんだ?ペンギン」



ドアの前で、各自戦闘体制をとっているのはベポとキャスケット。そしておれの3人。



静かに銃の尻を叩いて、安全装置をはずしてから静かに呟いた。



「………突入、だ」

「「了解」」













『どうかなさいましたか』

「!」



アイリの言葉で、おれは我にかえる。


たかが10歳程度の少女に見惚れていたことを心から悔やみ、何でもないと答えた。



すると少女は『わたし……怖い…』




そう、突然しおらしく顔を歪めて悲しげに目をふせてみせたのだ。

心なしか、その身体は震えている気がした。



その姿を見てやり過ぎただろうかと焦りを感じる。


これまで沢山、奴隷として男に乱暴されてきたであろう少女には酷すぎたかと悩んだ。



確かに軽率であった。



だがそんな心配は一瞬にし消え失せた。




『優しく、してくださいね?』

















 

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あきゅろす。
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