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めいん













「目指すのは、最上階のふざけた牢屋。
そこにアイリがいる筈だ。

キャスケットは裏口、べポは東口から。ミスターは爆破装置取り付けてから西口へ。ペンギンはおれと一緒に正門から突入。

ここまでで異論はねぇな?」










そして、そうして。
彼の言葉通りに彼らは動き出す。






ミスターの仕掛けた発火装置が作動したことを引金として、ハートの海賊団は駐屯所へと攻め入った。




駐屯所そのものは、自分達が本当にここを壊したのだろうか。と疑いたくなるほどそのままに復元されていた。


しかしそのままに復元されていたことは、以前のままの構造であるということでもある。



ローを筆頭にして全員が一斉に雪崩れこむ。


流石に建物自体を修復できても、人員を回すことができなかったのか内部はかなり手薄だった。




数だけの雑魚を手早く片付けて。



「(アイリ……)」




ローは拳をぐ、と握りしめて力の限り祈った。



彼女が無事であれ、と。



ローの頭の中はもう、それしか残っていなかったのだから。




「キャプテン!」

「、ベポ」



最上階へと続く、あの螺旋階段の途中でベポはローと合流した。


無事かと問えば元気よく宙返りしてみせるのだからローも微笑まざるを得なかった。



次いでミスターもやってきた。



2人とも、返り血まみれではあるが軽い程度の傷しか負っていないようなので一安心する。


つまり2人がここにいる事実とは、西口と東口の敵を撃破したということになる。




けれど、



「ねぇキャプテン……キャスケットはまだ来てないの?」

「まぁ、な」




ベポの言葉に、ひゅっ と息を呑む音が聞こえた。


それはほんの僅かなもので、本来ならば聞き逃してしまいそうなほどに小さい。



だが、これほど青い顔のペンギンを見ていれば聞き漏らすことなどできないもので。




ペンギンはただ、何を言うわけでもなくいつも通りの無表情でいた。


ひとつだけ違うのは、間一文字に固く結ばれた唇から血が滲んでいること。




それを見かねたローは、小さく舌打ちをした。



それからペンギンに向き合うと、一言だけ言った。




「1分で帰ってこい」





ペンギンもまた、ローが言い終える前にここが6階であることなど気にせずに窓から飛び降りてしまったのだから。




残された一同は互いに顔を見合わせて、苦笑いを溢したのだった。















 

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