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めいん











その時だった。


ふ、とミスターは目尻を細めていつもの調子ついた笑みではなく、まるで育むような慈愛に満ちた笑顔を浮かべた。



アイリにとってそれは珍しくも、思わず目を奪われてしまうほど暖かさを持ったものに見えた。




「よかったな、ロー」

『、ぇ』

「なあお前、わかってるか?
ちゃんとこうしてお前は愛されてるんだ。そしてお前も愛せているんだ。
そろそろ気付いても、いい頃だろう」

『みす、たー?』

「アイリちゃんも」



ミスターは眠るローの髪をすき、彼女に向かって顔をあげた。




その表情は何だか悲しげでいて、どこか楽しそうでいて。




「君もそろそろ気付いてるんじゃないかな?」

『が、……な、にが?』

「君は、」



“ローのことを愛している。”



脳みそを直接揺さぶられたような気分になった。




え?何がわたしが愛しロー愛されてだれがどこで何をいつどうしてなぜどうやってあいあいあい?あいしてあいされたというの?


ぐるぐるくるくる。



鼓膜、三半規管?うずまき管?が、が、どこか歯車みたいな音を脳に届けてくる。



手の平が伝えてくるローの体温は熱いアツい。まってローがアツいの?

体温50℃くらいあるんじゃないですかってくらい熱い。




でも知ってる知ってた確信犯。




熱いのはローじゃない。



わたしの細胞のひとつひとつが勝手にローの感覚を熱に変えてるだけなの。

ローに触れるたびにわたしが熱くなってとろけてひとつになりたがっているだけなの。



わたしは、
彼を心から愛している。



『ひ……ッ―、!!!!!』

「お気づきかな?プリンセス」

『わ、わたわた、し……へやっ部屋に、帰る』

「逃げるのかい?」

『や、嫌。こわ、い』

「当たり前さ。恋とは恐れの上になるものだからね」

『こわいの、は、嫌』

「だから逃げるのかい?
それで更に怖さが増しても?」

『だって、わたしは、あい、あああい、されない。
愛されない』

「……へぇ」

『わたしは、愛されないから、愛したら、ローはローがっ……!
ど、どこかいっちゃ
う、かも、しれない。
わたし、を嫌がるかも、』




ローに嫌われたら、わたしは、生きていられない。
















 

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あきゅろす。
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