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めいん










殴られたミスターは痛いと言って頬を擦っていたが仕草がわざとらしすぎて、あまり痛そうにはみえない。


本気の手前くらいの結構強い力で叩いた彼女は、改めてミスターがただ者ではないことを実感した。




「それにしても、プリンセスは一体何の実を食べたんだい?
魚人間がモチーフかな」

『さかなにんげんってなんか気持ち悪い』



相変わらず冗談めいた口調のミスターに、アイリは苦笑いを浮かべてみせた。


彼はうんうん、と腕を組みながら彼女が食べた実の名前を考えた。




「魚だから……サカサカの実、とか?
語呂が悪い上はになんだかゴキブリの効果音みたいですね」



ネーミングセンスの悪さは自他共に認めているのだろう。

自らが言ったその言葉にミスターが首を傾げてみせるのだから、思わずアイリはその仕草に笑ってしまった。




それから、答えあわせを求めた彼に模範解答を述べてみせた。




『冗談。
“ヒトヒトの実 モデルマーメイド”』

「あっは、人魚に能力者か。随分と高く売れそうですね」

『借金のことなら今すぐご相談を。身売りしてきます』



右手で電話の形をつくり、フリーダイアル……などと吹聴してみせるアイリ。

ついでに『みんな、今までありがとう』なんて言って涙を拭う仕草までする。



ミスターはそれが面白く、ツボに嵌まったのか目尻に涙を浮かべるほど豪快に笑っていた。



「はははっ!
ま、ローがそんなの許す訳もないんだけどね」



そうカラカラと笑いながら言ったミスターは、未だに彼女の膝で寝息をたてるローの頬を軽くつねった。




仲間に向けるような愛情は感じとれるものの、ミスターからは船長に対する敬意などは一切ないようである。



間抜け顔 だなんて言ってローを指差し笑うミスターを見つめてアイリは思考を巡らせる。




ペンギンがミスターを嫌いな理由、もうひとつ発見。



ペンギンは、まるでローを崇拝するかのように恭しく従順である。

そんな彼はその崇拝している男をからかうミスターが嫌いであり、また苦手としているんだな。と。




脳の隅でそんなことを考えながら彼女もローの頬をつねった。



















 

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あきゅろす。
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