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めいん















けれど、欠けたピースはまだ埋まったわけじゃない。



ぼんやりと焦点の定まらない目をこすりながらアイリは立ち上がる。



会わなければならない人がいるから。


たった1人の、大切な人。



迎えに行かなきゃ、と思ったけれど、迎えにきてくれた大事な人。


その細腕に力を入れて、立ち上がってもやはり転んでしまいそうになった時に支えてくれたのは『ロー』



「待たせたな、アイリ」



アイリにとっての光だった。



彼はアイリをひょいと抱き上げるといつもの人を食ったような笑みを浮かべる。


ペンギンも、キャスケットもはじめローをみたときには、きょとん という擬音を表情につけたままだった。


しかし、すぐに状況を把握すると共に口元に笑みを浮かべてみせた。



「船長、おそいっスよ」

「うるせぇな。とっととずらかるぞ」

「証拠を隠滅してから行かないのか」

「あぁ。こら、起きろベポ」



会話の途中に、靴の先でベポを蹴り上げれば赤熊のままでいる彼は小さなうめき声をあげながら身体を起こす。



そうして呑気に、「あれ?もう朝なの」などど吹聴させてみたのだ。



ローは喉の奥でひときりし笑うと、思いもよらぬことを口にした。



「あァ。あと、60秒でここ爆発するぜ」

「は、?」



どうして、とキャスケットがで問う。

ローは依然として綽々とした態度で“証拠隠滅だ”と言い放つ。



それから小さな身体の彼女を抱きしめて、窓から飛び降りた。




20階の。




『っ―?、―――!!?』

「たけぇなあ!!!!」

「せんちょ…うぁあっ!??」

「行くぞ、キャスケット」

「待ってよーう、ってぇえええ」



一同が驚愕しながら嬉々した。




『(みんなでダイブ!)』







 

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