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めいん
10














アイリは、驚きを隠せなかった。




目の前にいる3人は知っている人だけど、知らない人で。


目の前にいる3人を見たことはあるのに、見たことがなくて。



「驚いたか?」



呆気に取られていると、不意に隣から嘲笑うようなローの声がした。

横を見やれば、相変わらずニヒルな笑みを浮かべて3人の戦いを見ている彼。



『目玉が落ちそうな程度に驚いている』

「しまっとけ」



冗談半分で言えば冗談全部で返される。



あの状態の彼らを見ても臆することがない。

恐らくローは慣れているのだろうと推測できた。



くつくつ と喉の奥で笑う音がした。



「おれの船にいるのはな、あいつらやお前みたいにどこか“欠けた”ヤツらしかいねぇ。

しいて言えばハートの乗船条件は欠陥品だ」

『欠けた、奴?』

「あぁ」



ローは笑った。

だけどその笑みはどこかいつもと違っていて


なぜか、なぜか。



「残虐非道な海賊団。
蓋を開けりゃ気狂い集団だ」



(ロー、何故そんなに悲しそうに笑うの?)



疑問は口の中で飲み込んだ。



変わりに、ついつい口にしてしまった疑問。


気づいた時には手遅れで。



『ローも、欠けているの?』



ごめんなさい。
あなたを驚かせ、悲しませるつもりはなかったのに。



その言葉を聞き、受理し、理解する。



最後の過程を過ぎた時、ローは再び眉尻を下げて笑った。



「もちろん」



彼の紡いだ4文字の言葉がヤケに重たかった。













 

 

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あきゅろす。
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