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めいん













無事手当ても終え、ローはふらつく足に力を入れて立ち上がろうとする。



その瞬間、不穏な影が2人を襲った。



大人数で階段を駆け上がってくる足音。



「居たぞ!!!!トラファルガー・ローとNo.119だ!」

「2人共袋のネズミだ!捕まえろ」



彼の嫌な予感は的中した。



最上階のこの牢に退路などあるはずがないのに、ここぞとばかりに海兵がわんさかとやってきた。

2人揃って、容易に辺りを囲まれた。



彼らに向けられた銃口が、怪しく黒光りした。



数えるのも億劫になるこの大人数に加えて負傷しているロー。

アイリもまた、一見分からないが臓器をやられている。



「撃て」



冷静で、落ち着き払った声。

それと共に引き金が引かれた。
鳴り響くは銃声と絶叫。



倒れたのは海兵の方だった。



「船長無事ですか」

「ペ、ンギ、ン?」



目元深くまで被った防寒帽、真一文字に結ばれた唇、ハートの海賊団特有のつなぎ。



牢の入り口に立って、銃を構えているのは他の誰でもなくペンギンだった。



「うぉぅっ!?船長、血!」

「アイアイ!助太刀に来たよー」



ローが呆気に取られている間にも次々と知った顔が入ってくる。



彼は一言だけ、何故ここにいる? と問うた。

しかし、そんな雑談を交える隙もなく海兵らは体勢を整え直して襲いかかってきた。



アイリは、ローを安全な場所へ移動させて言った。


『ローに会う前、ここの電電虫を拝借して応援を呼んだ。

念のためだったけど、呼んでおいてよかった』

「へぇ、賢いな」

『当たり前』

「調子に乗んな」



ローは軽く、クスクスと笑うアイリを小突いてからペンギン達に向き直る。

それからいつもの人を喰ったような笑みで言った。



「お前ら。今日は加減ナシでいいぜ」



ローのその言葉を聞いた瞬間、全員の目の色が変わった。











 

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