Text T 終わっていた話T-1 「限界なんだよ、知っているだろ?理解しているだろ?感じているだろ?」 彼女は一方的に言葉を叩きつけた。 真っ白な部屋の中で彼女の声が響く。 私を見下し訴えるように言葉を続ける。 「正解は分かっているだろ?正答で正論なただ1つの《方程式》-ミチシルベ-を!!」 私は答えない。 声のせいでも、恐怖心からでもない。 ただ単純に、答えたくはなかった。 ライトグリーンの彼女の瞳は輝き言う。 「魔石による生体実験さ!!人形の大量生産だよ!」 この言葉には予想は付いていた。 彼女と私は祖国を取り戻すための殺人兵器の開発者であった。 否、その開発には限界があった。 「落ち着いて考えましょう。いい?魔石はただの魔術の塊、発動させなければただの石と同じよ。 それを体内に埋め込んだところで… 「違う違う、間違えだよ!!魔石の発動条件は感情の乱れさ! 感情の不安定な少年・少女に埋める段階で47%、そのうち属性が一致し完全な人形となりのはざっと19%だね。 これは一見すると、とても不効率だ。だがしかし、これは驚く程効果的だ。何故だと思う?」 私の話を遮られてしまった。 しかし、ここで引くわけにもいかない。 「待って話を聞いて。例え人形が効率的に1人につき100人殺したところで貴女自身もその100人に含まれるのよ。」 ここで私までも熱くなるわけにはいかない。なるべく冷静に落ち着いて説得を続ける。 「古来から魔石による生体実験は存在していたわ。だけど、現代に人形を造り戦争を行う国家は1つも存在しないわ。 何故なら…― ―…何故なら、人形には制御装置がないからよ。」 ソプラノの私の声が部屋に響いた。 [次へ#] [戻る] |