ペンペン草の音色 プロローグ:世界の無意味さ ――――――――――日常は、どこまでも私についてくる。 つまらない………。 この世界が。 この社会が。 この環境が。 この人類が。 この全てが。 なんで、こんなに「何か」に縛られなければいけないの? 自由に生きさせてよ。 法律が正しいなんて、誰が決めたの? 所詮、基準が欲しかっただけでしょう? 子供のころから、私はこの世界に不満、というか疑問を感じていた。 それは、世界の在り方や法の正しさと、生まれ変わるということについて。 私が生まれ変ったら、この世界はどうなっているのか。 私はどんな人間なのか。 そもそも、何物なのか。 それを、人々は「妄想」と呼ぶらしい。 まぁ、間違ってはいないと思う。 普通の人々は、「生まれ変わる」ということや「自由」に憧れをもつかもしれない。 けれど私のそれは、「憧れ」とは違うの。 宗教信者の気持ちが、少し理解できる。くらいのものだから。 根拠もない、脈絡もないこの考えを、この行為を、私はおかしいとは思わない。 でも、「妄想」と自己認識しているから、「空想」にあてはまるのかな。 それは、いつも通りの授業中に起きた。 私は、いつもの様に「空想」とか「妄想」とか呼ばれる行為をしてて、授業なんて聞ていなかったけど、今だけは切に思う。 授業を真面目に受けれていれば、こんなことにならなくて済んだのではないか、と。 ふと、目の前が暗くなった。 真っ暗、じゃなくて、ただ単に暗くなっただけ。 何も見えないわけじゃない。 そう、どちらかといえば、見えないほうがよかったのかもしれない。 暗さに対応しようとしている私の視界を埋め尽くしたのは、真っ白で汚れ一つない獣毛と、金色の懐中時計だった。 あと、端っこに赤チェックがちらほらと。 上から声が降ってきて、私の思考と視界は閉ざされた。 ――――――さぁ、白ウサギを追いかけて。君の望む夢の世界へ――――――――――――― [次へ#] [戻る] |