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小説
蟻の砂〜3
蟻の砂〜3




♪〜〜♪〜〜♪〜〜

「・・・・・・」

  ♪〜♪〜〜♪〜〜


暗い部屋から突然鳴り響く着信音に、天井に光が点滅する。

今だ鳴り止まない音と、画面を確認しなくても誰なのか
わかってしまうことに苛立ちを覚えながらしかたなく携帯に手を伸ばした。




『や〜っとでた! 黒澤しぇんしぇ〜〜』

「・・・・・・何時だと思ってる」

『えーそんなこと知らんもーん』

「お前いまドコにいる?」

後ろから聞こえる騒がしい音にグリコの異常なテンション。


『えー? 今みんなで飲ん――」

教師の前で飲んでいたとは流石に言えないのか、電話の向こうで息を呑むのがわかった。


「・・・・・・まぁいい。誰と一緒だ?」
『え、あぁと金次と十希夫と・・・・・・』





「と、マキにマリコにアサミあたりだろ」

『・・・・・・』

無言の肯定。
まったくバカらしい。


「飲み過ぎない程度に楽しめよ」

『あっ!ちょクロサー』

「なんだよ」

切ろうとするとまだ何かあるのかとでた言葉は機嫌の悪さが滲みでていた。
苛立ちが増し頭まで痛くなる。


『・・・・・・今からそっち行ってよか?』


「駄目だ」


それだけ言い残し、今度はすぐにボタンを押した。





マキにアサミにマリコだっけ?



ガキの癖にいい身分じゃねぇか。


痛さが増しガンガンと鳴る頭を抑えながら、布団の中へと潜りこんだ。












「ぐりこ遅せぇぞ! なんだウンコかよ」

「うっさかっ!」

金次と十希夫の前に座ると目の前にあったジョッキを一飲みし、
テーブルの上へと勢いよく置く。


「なんだよ、機嫌悪ィな何かあったのか?」


「かぁ。年上は難しか!」

「なに?お前今度は年上の女かよ!」

「今度も何もコレが初めてバイ!」

「アァ? あんだけ女とっかえひっかえしてる奴がよく言うぜ」


「ヤキモチば妬かせよう思ったのに失敗したと!」


ぼそりと言ったグリコの言葉に2人が驚いて顔を見合わせた。


「なに?お前でもそんなことすんの?!」

「想像つかねぇ〜いったいどこのお嬢様落とそうとしてんだよ」

「ほっとけ」


グリコのふて腐れた顔は2人にとってはなんとも珍しく一気に場が盛り上がっていった。


「なになにその人いくつぐらいなんだよ」

「あー27歳・・・ぐらいやったろうか」


「「まーじーでー! おまえ10歳も上じゃねぇか」」


「べつによかろーが」


「・・・・・・いいけどよ、10上ってさすがになあ?」


「うーん。なんか17歳なんてガキ相手軽くあしらわれそう・・・・・・」



「・・・・・・」


「ちゃんと告白とかしたのか?」


「・・・・・・した」



「あ、ああそうなんだっで、でも一回じゃわかんないよな? な金次」

「そ、そうそう一回振られたぐらいじゃな! な十希夫」

「な、そんな一回ぐらいで諦めんなよグリコ!」








「・・・・・・もう何回も好き言っとるバイ」








「・・・・・・あー」

「・・・・・・はは」





「なんね! どーせ望みばなか言いたかろー」



「「いやいやいやいや」」


「どーせワシは嫌われとるわ!!」




「わ、ワァーグリコ落着けって!!」


がしゃーんと音と共にひっくりかえるテーブル。

金次と十希夫が押える間もなく暴れだしたグリコに、程なくして3人とも
店から追い出されることになったのは言うまでもなく。




グリコの怒りも収まることがなかった。



end,

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