御山蔵学園 3 俺達なら、王道学園で王道生徒会役員になれる。王道学園モノを体験できる。そう気付いたのだ。 元華族の俺の家。 財閥系の鷲津の家。 皇室とも関わりがある藤宮の家。 世界中に商売の手を広げている貴志の家。 家柄は問題ない。 容姿も問題ない。自分で言うが、俺より美形を見たことがない。漆黒の髪と漆黒の瞳、時折突拍子もない行動をする藤宮には、初対面で「マネキンみたいな人間って本当にいるんだねっ。鼻、触っていい?」と言われた。 そんなだから幼少期から今でも、芸術作品として誘拐されかける程度に、俺の容姿はずば抜けていい。 他の3人も似たり寄ったりだ。 それ故に、俺達は皆、護身術を昔から嗜んでいた。 特に俺は、護身術の家庭教師が何を勘違いしたのか、自分どころか他人まで護れる技術まで仕込んでくれたおかげで、そこらの格闘家にだって余裕で勝てる実力を得た。 だが、密林訓練とか市街地訓練とか爆弾処理とか、果たして俺に必要だったのだろうか。彼は俺を傭兵にしたいのか、はたまたテロリストにしたいのか、未だに訓練をつけてくれる彼に、まだ聞けないでいる。 話がそれたが、腕に覚えがあった俺達は、王道学園モノに必要な夜のバックグラウンドのために、夜な夜な喧嘩に出た。 俺達4人のチーム名は「ルシファー」にした。ルシファーは魔王。暁の明星がその象徴だ。暁とは明け方のこと。俺達は腐活動をしているとその時間になる。鷲津が考えたそのチーム名には、皆納得した。 ルシファーは、あっという間に最強のチームになった。当たり前だ。くぐった修羅場が違う。 ルシファーは近隣のチームを合併吸収し、今や最大クラスのチームでもある。もっとも腕っ節は強くても頭の弱い奴らの集まりなので、ルールは4つのみ。 裏切らない。 一般人に手を出さない。 ヤクはやらない。 私闘禁止。 これらのルールを破った奴には厳しい制裁が与えられる。 集会のときなど、ものすごい数のガラの悪い兄ちゃんたちの上座に座り、ふと思う。俺、何真剣に総長やってんだろう。 まさかこんなオオゴトになるはずじゃなかったのだが、とりあえず王道学園モノ生徒会の前提はクリアしたのでいいことにしておこう。 御山蔵学園に入学した俺達は、すぐに親衛隊ができ、抱かれたい男ランキングで生徒会に選ばれた。 さぁ後は王道編入生が来るだけ、というところで理事長からもたらされた待望の一報だった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |