御山蔵学園
2
「2位はねっ、「PERSONA」の総長さん! いつも仮面してて顔わかんないんだけど、ボクは見た! すごい美人だった! いつも周りに大男侍らせて、しかもその人たちみんなで総長取り合ってるんだよっ!」
「おおおお!」
「萌えー!」
思わず歓声を上げる俺と、叫ぶ貴志。そこに冷静に突っ込む鷲津。
「「PERSONA」総長、大学生」
「あぁ……」
「萌え尽きたねぇ……」
「いやっ、学園内部調査とかで編入もアリかもしれないよっ!」
力説する藤宮。そういう設定も確かにおいしい。読む分には徹夜して読み耽るほどおいしい。が。
「藤宮、気持ちはわかる。だが、俺が生徒会長在任中に内部調査が行われるなんて、いくら萌えてもイヤだ」
「……あぅ」
「うん、そりゃいやだぁ」
「大丈夫、藤宮。ランキング3位もおいしい。「ベラドンナ」総長、天真爛漫、属性KY、まさに王道」
鷲津の言葉に復活する藤宮。彼の大きな切れ長の目がキラキラと輝く。
「よし。それでは諸君。プロローグは終わった。いよいよ王道学園モノ計画第一章開始だ」
「うんっ、夏コミ間に合って良かった! ね、ていちゃん!」
ていちゃんというのは俺の事だ。五條帝人(ごじょうみかど)の「帝」からそう呼んでいるらしい。
「腐友にやっと報告できるよぉ」
「姉さん、喜ぶ」
この日、生徒会室は歓喜に包まれた。
すぐに気付いたことと思う。
我々生徒会役員は皆、腐である。
チャラ男会計路線を目指す貴志は、同人誌BL小説家。
無口無愛想なワンコ書記を狙う鷲津は、プロのBL作家である姉に情報提供している。
腹黒二重人格副会長のイメージを固めようとしている藤宮は、同人誌BL漫画の原作者。
俺様生徒会長の地位をモノにした俺、五條帝人は、藤宮と組み、藤宮が考えた同人誌の漫画を担当している。
我々4人は、中学校のときにネットで出会い、この学園モノの王道ともいえる御山蔵(みやまくら)学園への進学を決めた。
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