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御山蔵学園

「2位はねっ、「PERSONA」の総長さん! いつも仮面してて顔わかんないんだけど、ボクは見た! すごい美人だった! いつも周りに大男侍らせて、しかもその人たちみんなで総長取り合ってるんだよっ!」
「おおおお!」
「萌えー!」
 思わず歓声を上げる俺と、叫ぶ貴志。そこに冷静に突っ込む鷲津。
「「PERSONA」総長、大学生」
「あぁ……」
「萌え尽きたねぇ……」
「いやっ、学園内部調査とかで編入もアリかもしれないよっ!」
 力説する藤宮。そういう設定も確かにおいしい。読む分には徹夜して読み耽るほどおいしい。が。
「藤宮、気持ちはわかる。だが、俺が生徒会長在任中に内部調査が行われるなんて、いくら萌えてもイヤだ」
「……あぅ」
「うん、そりゃいやだぁ」
「大丈夫、藤宮。ランキング3位もおいしい。「ベラドンナ」総長、天真爛漫、属性KY、まさに王道」
 鷲津の言葉に復活する藤宮。彼の大きな切れ長の目がキラキラと輝く。
「よし。それでは諸君。プロローグは終わった。いよいよ王道学園モノ計画第一章開始だ」
「うんっ、夏コミ間に合って良かった! ね、ていちゃん!」
 ていちゃんというのは俺の事だ。五條帝人(ごじょうみかど)の「帝」からそう呼んでいるらしい。
「腐友にやっと報告できるよぉ」
「姉さん、喜ぶ」
 この日、生徒会室は歓喜に包まれた。


 すぐに気付いたことと思う。
 我々生徒会役員は皆、腐である。
 チャラ男会計路線を目指す貴志は、同人誌BL小説家。
 無口無愛想なワンコ書記を狙う鷲津は、プロのBL作家である姉に情報提供している。
 腹黒二重人格副会長のイメージを固めようとしている藤宮は、同人誌BL漫画の原作者。
 俺様生徒会長の地位をモノにした俺、五條帝人は、藤宮と組み、藤宮が考えた同人誌の漫画を担当している。
 我々4人は、中学校のときにネットで出会い、この学園モノの王道ともいえる御山蔵(みやまくら)学園への進学を決めた。


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