ばれんたいん【レムシグ】
『…も、もらえない』
【ばれんたいん】
「シグ、はい。友チョコ」
「ありかとうアミティ」
「私からもあげますわ」
「ありかとうラフィーナ」
今日は朝から女子が騒がしいと思ってたけど…なるほど。
バレンタインだった。
アミティとラフィーナからもらった小包みを見ると、『Happy valentine』と表記されている。
友チョコだと言っていたが、正直嬉しい。
チョコ…か。
チョコを見るとあの緑を連想させる。
なんとなく、今日は忙しくしてそうだな。
仮にも恋人だし…あげた方が良いのかな?
うーん。
……………
あれこれ考えている内に帰りの時間になった。
急いで買いに行こうとか思ったけど、今はそんなお金を所持していなかった。
どうしよう。
いつも貰ってるし、今日ぐらいは。
『シグ』
『!』
ゆっくり帰りの道を歩いてると背後から声をかけられた。
振り返ると−−−−−
『良かった。間に合ったよ』
いつもの緑がいた。
『…っレムレス』
『や、シグ。君に渡したいものがあって、急いで飛んできたんだ』
『………も、もらえない』
『えぇ!?な、なんで?』
『……いつも、もらってるから』
『そんなの気にしなくて良いんだよ。僕はもらってほしくて、あげてるんだから』
『よくない』
頑として目の前に出されたモノを受け取らない。
『いつももらってて、今日の事忘れてた上に何も用意してない…』
『…』
彼は小さくため息を吐く。
ガサガサッ
『?』
レムレスはいきなり持っていた箱を開けて、中から花の形をしたチョコを取り出した。
『むっ』
そして、僕の口に当てて−−−−
上から自分の唇とチョコをかぶりつくようにキスをした。
深い
甘い…。
『〜っ』
ちゅっとリップ音を残して唇が離れた。
『大丈夫。僕もいつももらってる』
『?』
『充分だよ』
『わけわかんない…』
『そう?そのままの意味だけどな』
(今から作るから家に来て)(え?いいの?)(うん、変な事しないでね)
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