くるくる【レムシグ・甘】
図書館――――――
しぃんと静まった館内で一人本を読むレムレス。
「…」
ぱらぱらと本を読み進めて行く。
本の中身は難しい上級魔導の事が書いてあり、並大抵の人間には理解出来ないものであった。
レムレスは窓際で座っているため、暖かい日が照りつけ、床はふかふかな絨毯、整った空調。
居心地が良いのか、レムレスはこの席が一番お気に入りであった。
ゆっくり本を読んでいると―――
「わっわわ!」
視界を誰かに手で塞がれてしまった。手の大きさ的に中学生ぐらいだろう。
だが、無理に剥がそうとはしない。たぶん可愛いいたずらにすぎないのは理解出来る。
「………シグ?」
試しにそれらしい、一番大切な名前をあげた。
「…」
返事は無い。
(間違えたかな?)
「ん〜…フェーリ…アミティ…クルーク…ラフィーナ…リデル……?」
他にこの手に当てはまりそうな名前を一人ひとり、あげていくが、やっぱり返事がない。
「…困ったなぁ…これじゃあ本が読めないな」
「……」
「僕が間違える訳が無い…ねぇ、
シグ、そろそろ離してほしいな」
最初と同じ名前をあげて、語りかける。
そうすると…
「…………本…しか、見ない…から……やだ…」
だんまりを決めていた小さな手の主が口を開いた。
「そっか、そうだね。でも……」
レムレスはシグの手を素早く掴み、ふわりと後ろを向き―――
ちゅっ
軽いリップ音をたてながらキスをした。
「これじゃ、シグの顔もみれないな」
「〜…レムは…ずるい…」
「シグもね…」
何時だって君は僕を
独占してやまない―――
FIN
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