軽重【シェアル】
(注;わくぷよダンジョンネタです)
「ぇ…えぇ〜!?」
「ぐ−−−」
【軽重】
音や光を中心にしたモンスターが蠢くステージ−−−−
スターライト
俺様、シェゾ・ウィッグイィは最上階にいるボスを倒しに、淡々と階を上がっている。
「たぁ!…フン、雑魚がっ」
目の前に現れる雑魚モンスターを"闇の剣"で一瞬にして叩き切り、アイテムを拾い集めていると…−−−−
「−−−ん?アイツは…」
一つ先のフロアに、見覚えのある後ろ姿がへたり込んでいるのを発見した。
「ぐっぐ〜」
「…あ、あはは…大丈夫だよ。カー君」
「お前、何してるんだ?」
「わっシェゾ!」
俺は黄色の生物と会話していたアルルに背後から近づく。
咄嗟に振り向いて、俺を確認していつもの気の抜けたアホ面をする。
「シェゾもここまで来てたんだ。いきなり話しかけるからびっくりしたよ」
「俺は何をしてるか聞いたんだが?」
未だに座り込んでいるアルルに合わせて、俺もしゃがみこむ。
それで、今更ながら気づくが、顔が青い。
「い、いや〜。ちょっとね…えへへ」
「HPが足んねぇのか?」
「い、いや…HPもMPもちゃんとあるよ」
「じゃあ、なんだよ」
煮え切らない会話に苛立ち始めていると…。
ぐうぅうぅ〜。
「!?」
「わっわわわっ///」
軽快になった音は、何のことやら?と、さっきからアチコチで飛び跳ねている黄色生物のモノではなく…。
「…〜っ///」
顔を真っ赤にして、そっぽを向いているアルルだった。
「…腹減ってんのかよ…ほら、りんごやっから、食えよ」
溜め息混じりにりんごを差し出すが、ソイツは首をぶんぶんと横に振る。
「…しぇ、シェゾのアイテムだし、貰えないよ!第一、気にしなくてもボク、全然平気だよっ」
「あ?りんごなんて、また適当に進んでりゃあ、すく見つけられんだろ。お前の方こそ青い顔して、気にしてんじゃねぇよ」
「本当に大丈夫…っいらないよっ」
口を固く閉ざして、またそっぽを向く。
何なんだと頭をかいていると、アルルの背後が目に入る。
それは−−−−−
【体重計の罠】
『女のプレイヤーが掛かると、体重が気になって食べ物を食べなくなるという状態変化の罠だ。』
なるほど、と理解するが…どうして女というのは、こういうのが気になるか、まったくわからん。
『じゃ、じゃあ、ボクもう行くから!バイバイ、シェゾっ』
『あ、おい!』
と、いきなり立ち上がり、黄色生物を連れてさっそうと消えていった。
『…たくっ』
……………
見失ったアルルをよそに、俺はまた最上階へと向かうべく、モンスターを切り刻んでいた。
『闇一閃っ!!!』
一直線に闇の力が発動し、モンスターをことごとく打ちのめしていった。
『…さて、行くか』
剣をしまい、進もうと思った矢先…。
『わゎぁ〜!!』
アルルが大量のモンスターに囲まれていた。
『っっっアレイアード!!』
アルルの周辺のモンスターに闇の力…最大呪文をお見舞いする。
すると、大量のモンスターはアイテムを落として消えていった。
『…ぁ、シェゾ』
『〜っっ"あ"じゃねぇ!お前は何考えてんだ!!』
『っ!お、大きな声出さないでよ〜』
『体重が気になって、食うもん食わねぇで、この先に進めると思ってんのか!!今みたいにまた囲まれて、力出せなきゃ死ぬだろうがっっアホっ!!!』
『なっ…シェゾにはわかんないよっ!女の子にとっては重要な悩みなんだからっ!!太るなんて、ボクは絶対にイヤだし、体重が増えたらショックで何も食べられないよ!!!』
『……はぁ』
溜め息をついて、俺はツカツカと歩き、アルルと間を詰める。
『な、何?…って、わぁ!?』
間が無くなり、俺は瞬時にアルルの肩と膝の裏に手を置いて、抱き上げる。(つまり、お姫様だっこ)
『ちょ、ちょっと!シェゾっ降ろしてよぉ』
驚いたアルルは、赤面しながらジタバタと暴れる。
「こんな、軽々と持ち上がんのに、体重とか気にしてんじゃねぇよ。お前なんて俺様にかかれば片手でも持ち上げられるわっ」
「…うぅ、だって」
「だってじゃねぇ!!いい加減、激辛カレー食わせるぞ!!?」
「そ、それだけはごめんだなぁ〜
……まだ…りんご残ってる?」
「…たく。ほらよ」
ひょいと、俺は持っていたりんごを投げ渡す。
(ということで、お前がほし…)(ごめん、それ無理www)
fin
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