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Walker Field marshal




くすくす、と笑うアレンに、今のどこに笑う要素があったのかと聞く。
するとアレンは、ただ、いいなぁと思っただけと答えてきた。
はてなマークを飛ばしたまま、アレンはひとつの民宿に入っていった。

「ここは?」
「少し話しがあるから、ここでご飯でも食べながら話そうか」

アレンが泊まっている民宿なのだろうか。
急に来たにも関わらず、アレンは女将さんらしき女性に話しかけてご飯を用意してくれるということになったらしい。
申し訳ないなと思いながらも、正直さっきから腹の虫が鳴きっぱなしだ。

「で?話ってなんなんさ?」
「え?ああ、君たちはコムイさんに言われて護衛の任務で来たんですよね」

ラビはこくんと頷いて、神田は目でそうだと訴えてくる。

「護衛などいりません。食べたら教団に戻ってください」

そのアレンの言葉に2人は椅子を勢いよく倒して立ち上がる。

「何いってるさ!?」
「てめぇ、ふざけたことほざいてんじゃねぇぞ!」
「別にふざけてなんかいませんよ。ただ、あなた達がいても邪魔なだけです」
「ンだとぉ!?」

あまりにも冷静に言うアレンに神田が憤りを顕にテーブルを叩いた。

「乱暴はやめてください」
「ふざけんなッ!てめぇに言われる筋合いはねぇ!!」

するとアレンは大仰に溜息を付いて、

「筋合い・・・ね。ですがあなた達は先程あの程度のAKUMAに苦戦していた。僕が行かなければどうなっていたことか」
「俺は関係ねぇ」
「ええ!!ひでぇユウ!!!」

仲間を捨てるような台詞。

「ですがあなたも苦戦していたことには変わりないでしょう?あの程度の力なら、かえって足手まといだ」
「っ!!」

2人はきつく顔を歪めてアレンを見る。

「別に護衛に付く事は自由です。コムイさんからそう任が下されていますしね。
 ですが『ウォーカー元帥』の周りは今やもっとも危険な場所。
 見たでしょう、あのAKUMAの数。こんなちっぽけな町にあんな数のAKUMAが普通いるはずない。
 それは『ウォーカー元帥』がいるからです」

つまり、『ウォーカー元帥』といると、普段以上に危険が迫るということ。
直接的ではないにしろ、アレンはそれを言おうとしていることは2人にはわかった。
しかも今回いたAKUMA達は少ないほうだと言う。
普段なら倍の数の、それもLv3などのAKUMAがうようよしていると言う。
それを聞いて、そんな中に身をいつも投じている『ウォーカー元帥』に恐怖を感じたし、その中で死者を出さないということに尊敬の念を抱いた。
それを聞けば、明らか2人は足手まといだ。・・・それでも、

「俺は元帥の護衛を果たす」

神田が力強く言う。

「そんな事言っても今更さぁ〜」

続いてラビが言う。

「元帥の下にいて死ぬならばそれまでだ。だが、元帥を守れるぐらい強くならなければ千年伯爵には勝てない」
「さっきのAKUMA達と戦ったからこそ元帥についていくって決めたんよ」

2人の目には揺らがぬ決心が見えた。

「・・・何を言っても無駄か・・・」

ふう、と諦めの嘆息を付けば、2人は「じゃぁ!」と期待の表情に変わる。

「いいよ、その覚悟受け取りましたよ。あなた達に護衛の任務を任せます」
「いよっしゃぁぁ!!」
「ふん」

神田はそっぽを向いてしまったが、ラビと同様にかなり喜んでいることが横顔でありありとわかる。

すると、喜んでいたはずのラビが急にそういえばと言って、

「元帥はまだなんさ?」
「そういえばどこにいんだよ」

忘れてたとでも言うような2人に、思わずアレンはくすりと笑って、

「あ、そういえば僕の自己紹介まだちゃんとしてなかったね」
「そんなん今はどうだっていい」

いいじゃないですか。と笑顔で伝えて、

「僕の名はアレン。アレン・ウォーカー。僕の前だけは死なないようにしてくださいね?」

にっこりとわらったアレンの前に、女将さんが作ってくれた温かな料理が出されたとほぼ同時、神田とラビの驚きの声が店の中を突き抜けたという。



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