檸檬
★
「にいちゃんたすけて」
「人がトイレに行っている間に何が起きたんだ」
この前も聞いたなその台詞。
そうだったあれだった。
昨日、棗に冷水をひっかけられたうえに涼しい恰好をしていたのが悪かったのか、普段より席を立つことが多かった。
そんでもって戻ってきたら、これだ。
劇的ビフォーアフター、何という事でしょう大黒幕が転がり落ちております。
ついでに照明もいくつか割れて飛び散っております。
体育館のタッパが何メートルなのかは知らないが、少なくとも3間はあるだろうその高さから落っこちてきた鉄と熱の塊が生徒にけがをさせてはいないらしいことは幸いか。
しかし。
「ひっつき玉?くっつき玉?だっけか・・・・・・えーとなになに、熱に反応して接着剤のようになる・・・・・・一時間は取れない・・・・・・」
箱の説明書を読みながら檸檬は溜息。
試しにその辺に落ちてたベニヤ板で舞台床に張り付いたその残骸を触ってみる。
すると、べとぉ・・・・・・と粘っこい音が聞こえる上にいくら引っ張ってもひっかいても取れる気配が全くない。
「妹と同級生がすみません・・・・・先輩方。俺が目を離したすきに」
「いや・・・・・・こっちの事故とひっつき玉が運悪く重なっちゃった結果だから・・・・・・」
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