檸檬
☆
客を捕まえればこっちのもん、と言った台詞は確かなもので。
面白ければ噂が噂を呼び、午前中が終わる前に特力系RPGには30分の行列ができていた。
そしてそこへ棗や心読み君といったメンバーが来場すれば騒ぎも起きるというもので。
「兄ちゃんーー!!棗がああああーー!!」
「どうした蜜柑、また苛められたかよし分かった俺でも追い出す程度ならルカ君を使えば」
「檸檬ー!?客を追い返してどうすんだ!?」
「翼先輩止めないでください俺は早急に妹を傷つける悪魔を退治しなくては」
「やめんかこのシスコン!!」
セットの中で仕事中だった檸檬は妹の叫び声を聞きつけすぐさまそこまで駆けつける。
そこにいるのは、兄ちゃんウチはもうお嫁に行けへん、と泣く妹。
詳しくは言えないほどの事をされたらしい。
そう解釈した檸檬の荒れようは、騒ぎを聞きつけ翼が出てくるほどにひどかった。
檸檬は工具の中からチェーンソーを取り出し電源も入れずに起動させている。
アリスを使い刃の部分だけを振動させることで、電源を入れなくてもチェーンソーを使えるのだ。
ちなみに起動音も鳴らないのであのギュイーンという音が鳴らず静かでエコモード。振動のアリスはこんなところにも応用できたりすのである。
「おめーもなんだその恰好」
「ねえねえ似合う?棗君v――――・・・・・・とでも言うと思ったかこの変態」
「止めろってばアホ共!!」
睨み合う虎と龍、棗と檸檬。
見た目はかわいい女の子だというのに、飛び出すセリフはラスボス級に低くておどろおどろしい。
檸檬はいったいそれをどう使うつもりだったのか、音も無く高速回転するチェーンソーを、翼の言葉にちょっと迷った後にストップさせた。
無音暗殺でも目指しているのだろうかこの少年。
もう少しで影縛りを使うところであった翼は、問題児日向棗と特力ルーキー佐倉檸檬がそろうと心臓に悪いコンビに変貌することを知った。
そして翼の説得によりいろいろと収拾がついたあと、棗がゲームに参加することとなる。
「蜜柑がされた事を考えたらシスコンじゃなくても怒ると思うんですけど俺は」
「うんうんわかったよくわかった、ここはゲームで勝負しよう。迷路でうまい事かち合うように設定しておくから」
「つーことは舞台はセット済み、何やったっていいんですよね翼先輩」
「いやいやいや、だめだからな?客に攻撃しちゃだめだからな?」
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!