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檸檬



「「野田先生はじめましてー」」

「はいはじめまして、佐倉さんたち」


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「能力者には4つのタイプがあってね。」


「まず1つは子供の時だけしか能力が発生しないタイプ

2つ目は能力を小出しにしか使えない代わり細く長く能力を持続するタイプ

3つ目、かと思えば一挙にドカッと能力を使うことが出来るけど、その分、能力の寿命を早めてしまうタイプや

4つ目、これは滅多にいないけど、能力に底がない代わりに能力を使う度その人間の寿命に影響があるタイプ」


「このそれぞれのタイプを『能力のかたち』というんだ」



そう説明しながら、のだっちは黒板にいろいろと書いていく。



「もちろん能力の容量(うつわ)は人それぞれ。これを踏まえた上で星階級など判断されることが多いけど――幹部生なんかはこの容量が大きい人が多いね――君もこの先能力UPを図っていく上で自分の『能力のかたち』を見極めていくことが一つの課題となるだろうね」



「はいっ、のだっち先生の『能力のかたち』はなんですか?」

「僕は『細く長く』タイプかな」

「はいっ、始め言ってた『子供の時だけしか能力が発生しないタイプ』ってどういうことですか?」

「うーん、それはまあ言葉通りなんだけど――――」


(そういえば、『アリスの入手』にもいろいろあったよなー・・・・・・)



蜜柑がのだっちにいろいろと質問している横で、前世となる昔の話を思い出す。



人が能力を、つまりはアリスを持つようになるには、いくつかのパターンがある。

アリスの親から生まれた子供もアリスになるような遺伝的なものもあれば、家族や一族が全員非アリスでもアリスを持っている子供は生まれる。

蜜柑の無効化はまんま父からの遺伝であるし、棗やその妹だってそうだ。

だがルカや檸檬のように、アリスの家系ではなくてもアリスを持っていたり、親とは全く別のアリスを発動している者もいるのだ。



ついでに言えばアリスストーンを使ったり、または「入れ」たりすれば自分のアリスではないアリスを使用できるようになる。

特殊な場合なら、よーちゃんはガリバー飴の副作用で第二のアリスを手に入れたりした例がある。


ふと思い、檸檬は手を挙げた。



「はい先生、子供の間は普通の人で、大人になってからアリスを発動するタイプはいるんですか?」

「はい。佐倉君。妹の佐倉さんのように自分でも発見が難しいアリスは、大人になるまで発動する機会が無いままである事もあるので、大人になるまで『見抜く』こともできないままであることもあります」

「『見抜く』?そんなアリスがあるんですか?」

「ええ。占いのアリスや千里眼のアリス、稀なものでは本人に会わなくても写真や映像などの間接的なものから能力者を見つけるアリスを持った人がこの学園にもいらっしゃいます。彼らの話だと、自分がアリスだと気が付かないままに大人になる人もいるそうです。」



「へー・・・じゃあウチも、そうだったかもしれないってことですか?」

「はい。生まれてから一度もアリスを使ったことが無い人だと、そういったアリスでも見抜く事が出来ません。それに発動済みの人でも、無意識のうちにアリスを使っている人が多いので、学園に来る人はなかなかいません。佐倉さんの場合は、鳴海先生のフェロモンを無効化した事で学園に認知された形になりますね」



「うーん。蜜柑の近くには俺や蛍ちゃんがいたからな。蜜柑も無意識に使っていたことがあるんだろうな」

「そういえば兄ちゃんは自分がアリスだってこといつから知ってたん?」

「ん?まあ、自覚したのはつい最近だな。前からなんとなく音の強弱とか操る事が出来たことはあるけど、それがアリスだってことは知らなかったし。蛍ちゃんがアリス学園って所に行ったって聞いてもしかしたらとは思ったが」

「えっ、じゃあなんで誰も言わんかったん!?」

「もし蛍ちゃんに続いて俺までアリス学園に行くことになったりしたら、おまえがどうなるか考えたらいろいろと心配だったからに決まってんだろ」


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