小連載
7
いや、そんな予感はしてましたよ
してましたけど、いやそんなまさかって思ってたんだよ
だけど。
そんな言い訳じみたことを考えながらも動かす足を休めることなく檸檬は目的地を目指す。
京都よりも西へ進むと結構田舎道になってくる。
舗装も不十分な山道を何度か越え、人伝に伝え聞いた方向へ進むといつの間にか桜の開花が早い地方に入っていた。
目指すは白い髪の子供、なのだがどうやらその子は京都の戦場跡地をうろついていたところを、どっかの貴族の家庭教師をしていた知識人に拾われていったらしい。
その知識人という人物について調べてはちょっと情報があれば出向いてを繰り返すうちあっちへ行きこっちへ行きともうそろそろ季節をまたぐ。
松尾芭蕉だってこんなに当てのない旅をしていないと思う。
いわく、若い男。
いわく、脇差を差している。
いわく、顔を隠すほど髪が長い。
こんだけの情報でどうしろと!
そう初っ端から頭を抱えはしたが、諦めるのは四年以上は探し回ってからだと旅立つ前に決めてある。
とりあえずその若い男というのが人攫いではないか、途中で放り出したりしていないことが気がかりだ。
それと盗賊に襲われても逃げられるぐらいの頭と腕を持っている事を祈るしかない。
一通り聞き込みを繰り返した跡は勘に頼るのみ。
それで現在向かっているのは日本列島の西、山口県。長州。
・・・うん。
銀魂読者、もしくは幕末好きの皆様ならわかって下さると思う。
というかわかってくれないと話が進まない。
今までまさかねーと思い、選択肢から避けてきたのだがそうも言ってられない。
勘に頼るということは一番可能性があるだろう場所を回らなければ意味がないのだと言い訳をしつつ、彼が向かうは萩である。
(まさか、な。)
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