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小連載



「なあ。おまえは冬になったらどうするつもりだ?」

「どうする、とは?」

「空家暮らしも夏の間は良いが冬になったら凍死するのがオチだ。今のうちから蓄えはあるのか」

「先のことなど考えたこともありません」

「ああそうかい。うちの寝床を使えと言ってやっているのに、案外察しは悪いんだ」

「・・・・・・え?」



冬が来た。

凍り付くような、というのは比喩でもなんでもなく外の風を浴びるだけで骨の奥まで氷になる夜。

それを乗り越えるにはどうにかして暖を取らなければならない。



法等はこの小さな村で、どうにか冬を乗り越えたかった。

去年までは藁で蓑を作り何枚も重ねて眠っては春を待った。

しかし今年はそうもいかない、蓑を何枚も作る藁は草履作りに費やしてしまったためもう無いのだ。



だからこその提案だった。

身寄りのない子供が冬を越せる確立はうんと低い。

屋根のある家で火ぐらいはあたれる環境は否という理由がない。

拾ってきた責任もある。

迷惑をかけられないからとぼろの空家で寝泊まりしていた頑固なガキを、寒い冬の湯たんぽにする名目で家に連れ込むぐらいの言葉は簡単に並べられる。

子供相手に口で負けるはずも無く。

これでも数百年生きていないのである。



「・・・・・・お世話になります」

「こちらこそ。」


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あきゅろす。
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