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小連載


☆棗誘拐編



セントラルタウンで文化祭やらなんやらの準備物を徴収してきてすぐ後の事だった。



「棗が誘拐されてん、兄ちゃん助けてっ!」



そんな妹に、おう、兄ちゃんにまかせとけ、とは言えなかったわけである。

寂しい。


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文化祭にレオと言うスペシャルゲストを招待するという一大ニュースに学園中が舞い上がる中、レオの行動がなにやらおかしいと言い出した校長がペルソナを呼び出し。

そして声のアリスつながりと入院中の棗の補欠で檸檬が任務とやらに割り当てられた事を携帯で知らされた直後の出来事だったのだ。

まさか暗部の仕事をレオの追っかけで溢れかえっている校門前で始められるワケが無い。

わあわあきゃあきゃあと騒ぐ観衆の中、どうやって状況を脱することが出来るか。

そこで檸檬はすぐさま生徒手帳からバッチを取り外して両面テープ付きを貼り付けたそれをゆっくりと進む車のタイヤの位置に投げつけた。

案の定タイヤの側面に貼り付いたバッジがきらりと光る。

ついでにあの車の中には結界師が居るが檸檬には暗部用の物である追跡除け付きの物が支給されているのでそう簡単には見つからない。

コレで追跡は出来る。

ついでに使った両面テープはセントラルタウンで買った高いヤツ。

なんでも圧力をかければかけただけ粘着力が倍になるものらしい。車のタイヤに貼り付けるとなればぴったりだ。



まずは妹を落ち着かせなくては。

パニくった妹は友人の蛍とルカに「あのトランクに棗がはいってんねん助けなきゃ」とパーマ・・・違ったスミレと一緒に詰め寄り始める。

檸檬はどうにか収拾をつけようと妹の肩に手を置いて言った。



「蜜柑!スミレちゃん!証拠になるものは!?写真とか音声とか」

「えっそんな・・・考えも付かなくて、」

「あっ・・・ある!これ、録音指輪!ちゃんと撮れているか・・・・・・」



檸檬はさすがにあの二人に奪還劇をしてもらうわけにはいかないと証拠になるものはと訊ねれば嬉しいことに蛍の発明品を身につけていたらしい。

レオの追っかけをするため開発されたグッズが、レオの悪事発覚の証拠品となるとはなんともである。



「よし、とにかくそれをすぐ教師に・・・」

「そんなことしてたら車がどこ行ったかわからなくなっちゃう!!」

「大丈夫だって学園には千里眼のアリスがある。蛍ちゃん、スワンで職員室にいる担任のところに・・・・・・って、」



言いながら蛍のほうを振り返った檸檬の目の前で、ボンッ!!と何かの炸裂する音と煙が同時に飛び散った。


「行け!」


蛍の掛け声に尻を叩かれたかのように蜜柑とスミレが群集の隙間から道へ滑り出し、門の外へと走っていった。

「え、」と檸檬が声をこぼす。

煙に隠れてよく見えなかったが、自分の妹と同級生がたった今、門を潜り抜けて行きはしなかったか。

教師の叫び声で我に返る。



「ああああ!?こら待ちなさい戻りなさい!!」


「ちょ、蛍ちゃ、何してくれちゃっとんの!?」

「ああでもしなきゃ収集付かないでしょ」

「やりすぎやーーぁぁああああ!!」



どうすんねんこれッ!!

と叫んだ。


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