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小連載



「猫被り」

「愛想って言ってほしい」



赤目黒髪美少年。

着崩した制服に耳にはピアス。

自分でもなんだが、きちんと制服を規定通りに着用して背筋を伸ばした自分とは真逆だなぁ、と檸檬は思う。



そんな檸檬の前に立つのはこのクラスのボス的存在。

初登場時では変態女の敵と呼ばれ、後からクールだのイケメンだのと持ち上げられた現在我が妹の天敵、日向棗殿だ。

一年したらこのひねくれ者が自分の妹といちゃつく事になるのかと思ったら妙な感覚だがそれはいい。



(怖い目、だけど幼いなー)



檸檬は別段原作を変えるつもりは無く、彼や妹の事情に口を出すつもりは無いが、第一印象としては良いものではないのでこのガキが妹と引っ付くというのは気に入らない。



(・・・別に、応援するけどね。それが幸せで、望むなら)



しかしそんな事を考えても結局は先の話。

必ずしも原作どおりというわけには行かない。



どういった物語になるのかなど本人達の自由だと思っているけれど、それは仮定の未来だ。

原作など知ったこっちゃ無い。

兄として妹の幸せを願うのは当然だが、元より学園に転入したくないと考えた時点で物語に沿わせるつもりは無いのだ。



(原作があるからって、必ずしもくっつくワケじゃないし。)



なにより自分という、ヒロインの兄という存在のせいで関係が組まれないようなら、その程度の縁だったというまでの事。

運命の相手ならばおのずと妨害に壊れる縁ではないはず。



そうして檸檬が出した結論はこうだった。



(とりあえず、妹のパンツ脱がせた敵って事で認定)



「猫を被るっていっても、わざわざ敵を作る理由が分からない」

「俺に近づくなっつってんだ」

「・・・違うな。君の言動はなんとなく自分と関わらせないようにするような意思がある。」

「さっさと向こう行け」



「もしものとき、自分と関わったからこうなった、と逃げる道を作っているわけか」

「黙れ」

「ただのクラスメイトの独り言さ。聞かせているわけではない。むしろ君から関わってきているね?」



「気にいらねぇ」

「こっちだってウチの妹に何されしてくれとんじゃワレって殴りたいところだけど。」


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