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小連載
本の世界


本の中に入ってしまった話。

文ストトリップ。



久しぶりのトリップ話。

漫画パラ見、アニメ未視聴。

一応去年までは(僕街目当てに)ヤングエース買ってた。





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彼女は純文学からラノベ漫画アニメ雑誌なんでも読む本の虫だ。

一生のうちに読める本の数が限られているなんて絶望しかない、という考えの持ち主である。図書館こそ彼女の楽園だった。

部屋は学生の身分のため古本ばかりが並び、本棚は随分前からぎちぎちで箪笥と押し入れも本が侵食している。

健康第一で生活しているためインドア文系ではない、がそれでは満足できないくらいには「もっと本を読みたい」という欲求が強い女。それが彼女だった。



とはいえ彼女は「ちゃんとした本」もたくさん読んだため常人としての思考は持っているため引きこもりになったり人に迷惑をかけたりはしない。

良い本悪い本というのはよくわからないが一応世間が持て囃している本は一通り読む。とりあえず味わう。どんな本でも大切に扱う。

よくある文芸部のベストセラーは読まないという思考には染まらず、とにかく何でも読む。もちろん古典も読む。

将来の夢は司書さん!という訳ではない。なら何がしたいのかと言うと自分が好きな二次元に囲まれて生活したい。



つまりは雑食系オタクである。



オタクらしく彼女は情報収集に余念は無い。

○○が話題だ、面白い、と聞けばとりあえず飛びつくし、古本屋で一日立ち読みだってできる。

学生である内は有り余る時間を注ぎ込んで読書に勤しみ、学生のままで歳が止まればいいのに、なんて夢想するような。

社会人になったら、本屋で適当に手に取った本をレジに持って行く、というのがやりたい。その程度のささやかな夢を持つ、どこにでもいる女だった。




そんなどこにでもいる女、小沢志波は本に囲まれた自分の部屋で声を上げた。



「あーあ、なんというかこう、自分好みの本を瞬時に見つけ出す方法とかないのかなーー」




寿命は健康を心掛けつつ今後の医学界に期待するしかない。

だが本との出会いはそれこそ未知でどうにもならない。近年の情報化されすぎた社会に生きるていると尚の事。

世の中は創作物で溢れ、作家界隈はネット内にも本屋にも溢れすぎていて出会いが多すぎる。



彼女にはある憧れがあった。



本には力があるという。

その人の心を救い、震わせるような本があるという。

人生を変えてしまうような「運命の一冊」があるという。

そんな本が自分にあるのなら、ぜひとも出会いたい。

たくさんの本を読めば、わたしもその「運命の一冊」に出会う事ができるだろうか。



「アプリとかのおすすめ機能ってどうしたって自分が設定した情報以上のものは無いしーー、ていうかそんな能力があってもいいよね。そういう能力が欲しーー。こう、魔法とかじゃなくてもとあ魔とか学アリとかみたいに、変な能力もある訳だしーー。」



別に自分好みじゃない本を否定するつもりはない。

むしろそういった本は、時間を置いてもう一度熟した頃に読むとまた新しい発見があるものだ。


だがやっぱり、手に取った瞬間にこれだと思うような本はある。


白馬の王子様に憧れる少女がいるように。

赤い糸を信じる女子がいるように。

彼女はまだ見ぬ「運命の一冊」を探している。






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あきゅろす。
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