二度あることは三度ある
2
※少しグロイ
まあ、な?
この世界がどんな情勢で人がどんな人間をやっているのかを理解していた時から分かっていたことではあったが実際それに遭遇すると、まあ、な?
こんなもんなんだ、と。
思ってしまうものなんだ。
「騒がしい、な」
『鳥でしょうか・・・』
「・・・・・・」
見ないほうが良いと第六感が告げてる。目に映さないようにして通り過ぎようとした。
だが結局それは出来ないことだった。
人の死体だ。
餓死したのか理由は知らないが、人間の形をした何かが転がっていて、そこにカラスが群がってる。
嫌悪感も何も起きない。
ただそれがそこにあるだけで、自分がそれを認識しているとどこかで見ている自分が居るだけ。
実際、森を歩き回っていたら死んだポケモンの遺骸を発見、なんてことはたまにあったから、それが人であったというだけであって。
ぐらりと目玉の奥が揺れた。
黒が視界に写り込む。
音にノイズが走る。
魚を捌いた経験が無いわけではない。
鶏肉を切った事が無いわけではない。
けれどそれはどれも新鮮で、匂いを気にすることは無かった。
どろどろに腐ったそれと同じものなど殆ど見たことが無いわけであって。
似たものを思い浮かべるなら、ホルマリン漬けの生き物の部品か、死んだ金魚か。
治安維持部隊などと名乗っていた身だ。
人が傷つくことがどういう事かぐらいわかっている。
だが人の死に触れたことは殆ど無い。
「まあ、こういう世界だというだけだよ」
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