二度あることは三度ある
13
「屋久、“黒い眼差し”。」
『了解』
ハクリューの目がすくみ上がるのが分かった。
泉へ逃げ戻ってしまいたいのにそれを許さない拘束にぎりぎりと歯を食いしばっているような感じがする。
『――――ッ!』
風が吹き抜ける。
「お、“高速移動”か。ついでに“睨みつける”まで。屋久、無事?」
『なんとか。そんじゃ“黒い霧”ってことでよろし?』
「上のほうへ引き付けて」
『了解』
折角底上げした素早さも下げた防御も黒い霧によって無効。
悔しそうにハクリューは“冷凍ビーム”を打ってくる。
特攻がそれほど高くないハクリューのタイプ不一致、最終進化のゴルバットとはいえ、飛行タイプなので当たったら危ない。
ついでに言うと瑠璃が育てたポケモンだ。
何をするか瑠璃ですら分かったもんじゃない。
毒を食らわせて動きを鈍らせるのもいいが、なるべく傷つけずに捕獲したいのだ。
それにハクリューの特性は“脱皮”。
すぐに状態異常から抜け出してしまうので、これもまた面倒な条件だ。
と、考えているとハクリューは首と尻尾についている青い玉を輝かせて上空へ向かって吼えた。
突如、空が暗くなって何かが降ってくる。
霰だ。
ぞっとしない。
天気が霰では氷タイプの技が必中じゃないか。
「屋久、“見切り”!」
『うぉお!?』
ギャー!と“吹雪”をもろに食らった泉で叫び声が上がる。
うわ、泉がカチンコチン。
「あえーと、えーと・・・・・・そうだ、“日本晴れ”」
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