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二度あることは三度ある
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先ほどまで雷や雨を呼び恐ろしいオーラを纏っていた暴れ龍。

しかし晴れた空の下、あちこち崩れたとはいえ静かに波打つ泉の岩陰から出てきたその龍は、ただ少し大きな青い蛇に見えた。









ここは整備されたフィールドじゃあない。

そしてただ開放された森の中でもない。

わたし達は異世界のモノであり、いうなればここは自分のいえでも公共の場でもない、他人の私有地だ。

いうなればなるべく環境破壊はやめておきたいから捕獲の最低限の時間と被害で済ませたい。



今のハクリューはまださっきよりは大人しい。

簡単とは言いがたいが、こちらが負けることはありえない。

自分からボールに入ってくれれば一番平和的なのだがそれはボールがぶっ壊れた今となっては、ただ野生を捕獲するより難しい。




「葵尾。少しの間、あそこから動けなくして」

『はい』



葵尾は、すぐさま“炎の渦”を展開する。

うおおぉぉっと後ろで声が上がるがあれはただの観客席から聞こえる歓声なのだと思い込ませる。

渦とはいえ泉の中央なのであたりに被害は来ない。

そしてハクリューは高温の炎からはそう簡単には逃げられないだろう。

体力を減らしての捕獲はあちこちに被害を出すので、ぎりぎり火傷しない大きさの渦に捕らわれたハクリューは、“雨乞い”をしようとする。

だが、そのまえに炎を目の前に突きつけて集中をとぎらせる葵尾。




「お見事。こっちも仕事しますか」



パチン、と靴にバンドでとめつけていた携帯電話ぐらいの大きさの機械を手に取る瑠璃。

指貫きの手袋をはめ、それを手に持つ。




「久しぶりだからね。全力で行かせて貰う」




キュンキュンキュン、と円盤の形をした機械が手の上で回るのを見ながら、手袋をはめた手でハクリューを指差す。





「元トップレンジャー、なめんなよ」




ざわり、と。

空気が振動した。





(キャプチャ・オン。ってか?)








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あきゅろす。
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