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二度あることは三度ある


心に響く?







「あ、疲れた。なんなのあの城主様、こんな得体の知れないの城に入れるとか」

『そういう人なんでしょう』

「ていうか友紀についてまったくノータッチだったし」

『私から説明しておきました』

「・・・・・・≪異世界からきたポケモンです≫って?」

『はいっ!』

「・・・・・・。風魔氏は知ってるの?」

『いいえ、テレパシーを送っていたのはおじいちゃんにだけです』

「・・・・・・だからあんな挙動不審だったわけか」










秋の景色をのんびり散策する。

山沿いの道を歩く瑠璃はそう見えるが実際はちょっと違い、ダウジングマシンの反応がないかぐるぐる回っているのだったりする。

どう見ても不審な動きだ。



そう思ったからこそ、彼女の目の前にもう一度伝説の忍が現れたのは別に咎められることではない。

山の真ん中に陣取って説明中だった。










「・・・・・・そんなわけでして、私ここに来る前に家族とはぐれたので、あちこち回って一匹ずつ探しているところです。」



面倒だったがここで時間を取られているわけにもいかないのできっちり説明した。

別の世界がどうだのと言う奇怪な話は異国から、としておいたが他は本当だ。






「・・・・・・(お前は、この国に危害を加えるのか?)」

「・・・、確かに、そう危惧されるのは仕方ないと理解してます。けど私の目的は家族を探す事のみ。もし私がどこかの武家の人間や奇術師だとしても、この小田原には感謝しています」

「・・・・・・」

「家族に危害を加えたのならともかく、友紀を保護して食べ物を与えてくださった貴方や貴方の主様に恩をあだで返すような真似はしません」

「・・・・・・」






首にぶら下がっていた鈴は服の中に押し込められているらしい。

たしかにあれなら万一音が鳴っても響かないな。



瑠璃は自分では結構真面目な話をしたつもりだが、相手の膝や肩にポケモンがじゃれ付いている状況ではどうにも緊張感が無い。

友紀、あんたほんとに懐いたな。

それと風魔氏はなんか小動物好きな性格なんだろうか。

すっごい和やかなオーラがあたりを漂っているのは気のせいではないらしい。




≪風の人、風の人はなんてお名前なんですか≫

「・・・・・・」

≪こたろー、ですか?≫

「・・・・・・!?」

≪あってるんですね!じゃあこたろーって呼びます≫



瑠璃がどう話しかけようか迷っている間にこんな会話が流れていたりもする。

それが聞こえていない瑠璃は、もう向こう向いてようかなと木の実をかじりながら胡坐をかいていたが、風魔に助けてのサインを向けられたのでもう一度向かいあう。




「・・・・・・!?・・・・・・!」

「・・・?・・・・・・ああ、テレパシー・・・友紀が心の中に話しかけているんですよ。」

「・・・・・・?」

「念話、ってやつです。心を読まれているってワケではないので気持ちの悪いものではないんです。わかってやってください」

「・・・・・・」

「伝えたいと思っている言葉を心の中で相手に送るんです」



心、というと。



――そういえば忍って心を殺せとかいうやつがあったっけ。



瑠璃は言ってから後悔する。

何を私は言ってるんだ。

心を殺すなんてこともともと矛盾したものだけど相手はそういう人間だ。

伝説の忍にも心はある。

知ってはいるが、あったとしてもそれを悟られては絶対ならないということだ。

なにしてくれとんだ、友紀。

そして私も何言ってんだ。

ほらみろ風魔の表情がさっきの倍ほど分かりにくくなった。

敵意を持たれていないのはいいが、嫌われるのだって勘弁だ。




≪こたろーさん、こたろーさん。どうしたんです?≫

「・・・・・・」

「・・・・・・」





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