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二度あることは三度ある


滋養のお香







「こう言うてくれとるのじゃ、もろうとけ、風魔」

「・・・・・・」

「・・・・・・」




忍が貰っておいて、主に何もないとかそれどうなのよ。



「(友紀・・・また面倒な・・・・・・)」



物事には順序と言うものがありましてですね・・・・・・いや分かって言ってるんだなこのおじいちゃん。

風魔が遠慮しているのを見越して貰っとけと言っているのだろう。



・・・さっきまでぎっくり腰で唸っていたのに。





「あ・・・そうだ、北条氏、それなら貴方様はこちらを貰っていただけませんか」

「んん?それは・・・香かの?」

「はい。」




鞄から入れ物をいくつか取り出し、傍へ置く。

渡すのは怪しいものでないことを説明してからだ。




「くれるのか」

「ええ。・・・ただ、ひとつだけ」

「ひとつだけ、とな?」

「この香には、それぞれ不思議な力を秘めているので、持つのは一つだけ、と託されたときに言われたのです」

「ほう」



ここで興味が逸れれば良かったのだが、珍しいものには興味が湧いたらしい。

・・・石で出来てるもんな。この香炉。




「妖、満腹、さざ波、お花、岩石、幸運、潮・・・・・・これで全部ですね」

「試しても良いかの」

「ええ、どうぞゆっくりお選びになってください」







結局、幸運のお香を手にとった北条氏はすぐにそれに決定してしまった。

これで風魔も受け取らざるを得ないだろう。

・・・捨てるかどうかは別として。






「・・・あ、その鈴鳴らないので大丈夫です」

「鳴らんのか?」

「・・・・・・?」

「・・・・・・いえ、聞こえない、だけです。・・・・・・心に響く、らしいですよ」

「ほう・・・心に、とな」





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あきゅろす。
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