二度あることは三度ある
6
紅葉とお茶
「お茶に合うお茶菓子ですか?」
「そうじゃそうじゃ。旅をしていると聞いたのでな。どこか良いおすすめの所はないか」
「おすすめ・・・ですか。」
どうして私は今こんなことしてるんだろうと思いつつ、鞄の中をあさる瑠璃と会話してるのは、小田原城の城主様だったりする。
温泉帰りなんだとか。
ざっくりまとめると、こうだ。
城主が城に居ないからって忍び込んできたならず者を追い出したはいいけど毒喰らった風魔を友紀ちゃんが助け。
そんでもって未知の生命体の出現と情報漏洩のためにまた侵入者現れるかもしれないから早くお城帰ってきてー、と知らされた北条氏。
けど帰る道筋でいきなり友紀ちゃんが北条氏の膝の上から飛び出して風魔がそれを追いかけて、今に至る。
ついでに言うと、友紀ちゃんもちゃっかり温泉入ってきたらしい。
ずるいぞ友紀ちゃん。
「チョウジという所の名物品ですが、これはお茶に合いますよ」
「ほう?」
綺麗に包装された箱を取り出し見せてみると首をかしげる北条氏。
あ、そりゃそうか、こんな変わった紙の箱ないよね。
べりべり包装をはがしながら瑠璃は思考する。
でも風魔を救ったからって言ってこんな未知の生命体な紫色の猫と女を城にまで招待しちゃうのはどうなんだろう。
武器とか持ってませんよーって鞄を渡しておいたり羽織を脱いでおいたりしたから敵意はないこと分かってるだろうけど。
あ、さすがに伝説の忍の目の前で主に危害加えるなんて事無理に決まってるからか?
だとしたら怖いな、粗相をしただけで斬られはしないだろうけど、さっさとここから出たい。
お饅頭を5つほどお皿にのせ、手渡す。
毒見役なのか、後ろで控えていた若い女中さんが一つ食べた。
蓋あけたばっかりなんだけどなぁ。
いや、変な箱に入ってた饅頭躊躇なく食べるのも変か。
そんなうちに饅頭は北条氏のほうへ。
温泉マークが押されたお饅頭を口に入れてもっくもっく。
「美味いぞ!」
「それは良かったです」
「何という饅頭じゃ?これは」
「いかり饅頭です」
「いかり饅頭か!美味い!ほれ、風魔も食ろうてみぃ!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
隣で紫色の面妖な猫を肩に乗っけた風の悪魔がどうするべきかと悩んでいる気がするが私は知らん。
あ、でもおいで友紀ちゃん。貝殻の鈴はずれかかってる。
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