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二度あることは三度ある
20

努力して成功









「あ」

「今度はなに」

「真田氏、もう乗れてます」

「え」





押し倒されたまま、横目でちらりと見た川の岸では紅い服の人間が紅い炎の馬に跨って駆け回っていた。

乗車許可が下りたのか。

速いなおい。






「すごいですね、貴方のご主人は。焔尾がこんなに早く心を許してしまうなど、少し妬けます」

「・・・・・・すごいことなの?」

「まあ、そうですね。」



ギャロップの武器は炎。

その他にはユニコーンのように頭についた角での攻撃、硬い蹄の蹴りがある。

特に蹄などはポニータのときからダイヤモンド級に固い。



そう思っているうちに拘束を解いてくれたので、ほらと指を刺す。





「大概無視されて仕舞いなのが常なのに、すごいです。」

「へー」



あ、主人を褒められて嬉しいらしい。

解説も入れてみよう。





「ギャロップは本気で走ると時速240キロ・・・うんと速い馬の4倍ぐらいの速さで走れる上、10歩で最高速度になれる加速力を持ってます」

「・・・ちょっと待って、今なんて言った?」

「普通の馬の5〜6倍ぐらいの速さ」

「・・・・・・」

「体重が四分の一程度ですから、可能なのでしょうね。ちなみに跳躍力も相当です。逃げ足速いし、向き合って話が出来てしかも信頼を得るのはそう簡単な事ではありません」



・・・旦那すげええ。








そんな台詞がありありと浮かんでいる佐助の顔を見てくっくと笑った瑠璃であった。



うんと速い馬、というのは競馬の競走馬のことのつもりだ。

そういや、伊達のところで出てた馬ってサラブレッドだったような気がする。

さすがバサラ、時代錯誤半端ねぇ。



「うん?葵尾も並走してるし・・・楽しそう」

「たしかにねー」

「・・・よし、行くか」

「え?」



思い立ち、瑠璃は口笛を吹く。

するとすぐさま神速の速さでそばにウインディが現れる。

イッシュに飛ばされた折には世話になった皐月(サツキ)だ。



「うおああ!?」



見つからないように向こうで遊ばせていたが、ちょっと遊び相手になってもらおう。

意図をくんだのか、叫んでいる途中の佐助の首根っこを加えた皐月はひょいっとそれを放り投げ、背中に乗せて走っていった。



瑠璃はささっとボールからリザードンの凛(リン)を出して飛び乗る。






「ちょっと何事おおおおおお!?」

「佐助えええ!?何をしておるううう!?」




必死で巨大な犬にしがみつく迷彩忍者とそれに驚く真田に瑠璃はくくくと笑う。

まあその速さで走る生き物から飛び降りるのは得策ではないし、英断だ。



「どうやって止めんのさああああ」

「とりあえず離しちゃですよ」



紅い馬とオレンジ色の犬が走るその上空。

リザードンに乗って二人の上空あたりに向かった瑠璃はひょいっとそこから飛び降りた。

葵尾がそれを綺麗に受け止めてくれる。



青色の馬に跨った瑠璃は競争を仕掛けるように葵尾を走らせた。

ギャロップの速く走るものを見たら競争せずにはいられない特徴も入ってるらしい。



(楽しい!)





「ほ、炎の獅子でござるかああぁぁ!?」

「たしかに狛犬っぽいけどこの子はウインディっていう生き物ですよ。名前は皐月。ウィンディじゃなくてウインディ」

「何でもいいからこの子止めてええぇぇ」

「皐月ー一回止まってー・・・あー聞こえてない」


『ヒイイイーン!』

『ガウガウ!』





通訳せずとも、「よっしゃ競争じゃあああぁぁ!」という声だ。

上空の凛も参加してくる。



あ、止めるのは無理っぽい。

結局、その昼時中、川辺にて誰かの叫び声が長いこと響いていた。








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あきゅろす。
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