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二度あることは三度ある
18

交流のち礼







「あのお酒は謝罪の品のつもりだったんですけどね」

「へぇー・・・」



強制的に服を乾かさせ、巻き添えを食った迷彩忍者と地面に座って赤い塊を見ながら適当に会話する。



「あ、ちょっと機嫌が戻ったみたいですね」

「そうなの?」

「ほら、炎の色がオレンジ・・・橙色に変わったでしょ」

「確かに」








−−−−


彼らは葵尾を保護してくれていたようなものなので、なにかできるならお礼をしたかった。

そう瑠璃が言うと、真田の若獅子は





「ならば某、あの炎の馬に乗ってみたいでござる!」





そうぬかしたのだ。

無茶言うな、というのが佐助の見解だった。



「え、ちょっと旦那!?焼け焦げるつもり!?」

「瑠璃殿は乗っていたではないか。瑠璃殿、貴殿はあの馬に火傷せずに乗っておられた、乗るには何か特別な手順が必要なのか?」

「や、まぁ・・・・・・」



佐助にとって瑠璃というのは摩訶不思議な生き物を操る不可解極まりない人物だった。

炎の馬を取り戻すためであり、危害を加えるつもりがなかったと言ってはいるが、城に忍び込んで無事帰っていかれたんだから警戒するのは仕方ない。

そもそも火を吹く馬など物の怪にしか思えない生き物を武器として使うならそれは立派な敵。

おかしな術を使う陰陽師だと思えば捕縛対象として扱っても良い。



「葵尾に、ですか?」



しかし自分の上司が言うには瑠璃という人物を悪人と思わないらしい。

呆れた。

第一、火傷をせずにあんな馬に乗れる瑠璃自体、人間であるのか自体疑わしい。

そして乗れる方法があったとしても教えてくれるとは思え難い。

炎の馬が物の怪なら、それに乗る方法はきっと秘術だ。



「ほら、困らしてんじゃん。諦めなよ旦那」

「う、むう・・・瑠璃殿、もしやあの馬に乗る方法はなにかの秘術なのだろうか?」

「い、いや・・・秘術、ですか」



瑠璃はうーんと眉を寄せる。



「いえ・・・秘術とかじゃないです。乗る事は可能です」

「それならば!」



え、教えちゃうの!?佐助は心の中で叫ぶ。



「ただ・・・」

『ブルルルルウウゥゥ・・・・・・』

「葵尾に乗るのは無理かもしれませんね」

「何ゆえ」

『ブルルルウウルルッルッルルル』

「・・・あのさ、あっちの赤色の方ものすごくこっちを睨んでるんだけど」



ゆらゆらと揺れる炎が紅蓮に変わってだんだん白くなっている。

・・・怒ってる?

瑠璃は赤い馬、焔尾に近づいて話しかけ始めた。



「・・・焔尾、落ち着けどうした。・・・あ?・・・・・・あのなぁおまえ・・・うん?気にするな葵尾」



青色の方を守るように前に立ち、視線だけはずっとこっちを睨んでいる赤い馬。



「・・・なんと、瑠璃殿は炎の馬と話が出来るのでござるか」

「え、あー・・・まあ。」

「すごいでござる!」

「は・・・はぁ、どうも」

『ブルルルルルルル・・・・・・』



会話が成立している事にも驚くが、どう見てもこっちを威嚇している赤い馬に臨戦体制を取るべきかと佐助は思い始める。



「では馬はなんと言っているのでござるか?」

「・・・・・・」



しかし次の言葉に脱力することになった。



「・・・・・・

『葵尾に男を乗せれるかッ!絶対乗せさせない!葵尾が汚れる!』

・・・・・・と。」

「・・・?」

「・・・・・・はぁ?」



「ええと、こちらの青色の方と赤色の方は番(つがい)でして。妻に男を乗せたくないらしいのです」

『ブルルルル・・・・・・』

「そ・・・そうでござったか」

『ブルルッ!』



「では・・・馬に乗る事は出来ない、と」

「あ・・・すいません。」

「いえ・・・仕方がない」

「・・・ん?どうした葵尾」

「?」



『ルルル、フルル』

「うん・・・うんうん、え?」

『ルルルル』

「・・・えー・・・と焔尾?いいのか?」





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