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二度あることは三度ある


団子屋にて







ダウジングマシンの反応が近づいていることに気が付いた。

まさか道具をどっかに落として、それを拾った人物が近くに居たりするのか。

音が出て周りを驚かせてはいけないので消音の設定に変えてあたりを見渡す。

近い。

この店にいる。




向こうの世界でメジャーなものであったとしても、こちらではけったいなものと取られる。

神秘の雫とかお香の類は宝石に見えるだろうから、取り戻すとなれば至難の業だ。

けれどその分噂は流れるはず。

こんな団子屋に来る人間なら、知り合いに珍しいものを拾ったと話していたりするかもしれないと思って瑠璃は耳を尖らせた。



入れ替わり店に入ってくる客の顔や座った場所、ダウジングマシンの画面をちらちら不審に見えない程度に見くらべる。





「注文頼むよー」

「こっちお茶二つねー」

「ひさしぶりだなー」

「そうだ聞いたかあの話――」

「餅三つー」

「団子50本」

「おいしいよこれ」



(・・・・・・ん?)



「すみませんが」

「そうだこれは聞いたか?なんでも――」

「噂だろ?」

「団子は売切れてしまいまして」

「美味だな」

「こっちも食えよ」

「え、マジ?」



(いま自分の事言えないがとんでもない量の注文が聞こえたような?)



「お待たせしました、団子が五十と餅が三十です」

「あ、お手数掛けました」



土産用の包みに入った団子を受け取る。

重っ。

瑠璃はふらつきつつもお会計に向かう。



先ほど聞こえた会話で「団子五十本」と言っていた客の顔があった。

そういえば、ココって甲斐だっけ。




「人の事言えないけど、そんないっぺんに買っていく客が居たの?」



居るんだよね。

瑠璃は横から腕を伸ばす。



「お会計お願いします」



店の人が申し訳無さそうな顔で客に言う。



「・・・こちらのお客様が買い取ってくださいまして」

「うわあ後ちょっと早く来ていれば・・・やばい、減給される・・・・・・」

「・・・・・・」



瑠璃は思う。

何だか無性にこの客がかわいそうに思えてしまったので、





「・・・団子のほう、差し上げましょうか?」





と、言ってしまったのは仕方が無い。





「え、いいの?」

「うっとおしかったですか?」

「違う違う違います、ぜひ!」

「はい、ではお会計どうぞ。」








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