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リコリス
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夏の風物詩。



蝉の大合唱。

河原で遊ぶ子供の声。



「たくさん捕れましたねえ。白波さんはさすが海育ちといいますか、魚取りが巧みですね」

「川と海では勝手が違うところもあるんですけどね。例えば川魚は寄生虫が怖いからよく火を通しておかないと」

「じゃあそろそろ子供たちに食べさせましょうか」

「そうですね。体を拭っているうちに焼きあがりますよ」



遊びたい盛りの年頃の子供たちを夏中机に向かわせることは酷というものである。

そんな松陽の言葉もあり、夏の村塾では午後の時間を体力作りと称した遊びの時間にあてているらしい。

なるべく木陰へ入るようにと水分をこまめにとるようにとの二つだけはしっかり守らせているものの、それだけでも大変な仕事だろうと白波はその手伝いに来ていたのだ。



「ほら皆さん、川遊びはそのあたりで止めにしましょう、唇が紫色になってますよ」

「そうですよー。火を焚いたからそばにおいでなさい」

「うあー寒い、はやく魚くれよ先生」

「おい銀時、そんなこと言いながらお前水に足を付けてただけだろ。見てたぞ俺は」

「つかお前、泳げねーんだろ知ってんぞ」

「んなことねーよバカにすんな」



またも始まる子供の喧嘩。



「じゃあ魚喰った後に今度こそ川で泳げよ」

「今日は雨が降りそうだからもう帰るんだろ、なあ先生」

「では今度海に行きましょうか。」

「は!?」

「松陽さんって旅行好きですよね、いつにするんです?」

「白波さんまで!?」

「明日です。白波さんも一緒に行きましょう。」

「また急な・・・・・・まあ私も太平洋よりも日本海のほうが好きっちゃ好きですし、お供させてもらいますよ」



「だめだこの人、しょっちゅう引っ張りまわされてて癖がついてる」


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