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アルバス・ダンブルドアは校長室で冷えた体を温めるという名目の元、ホットココアを口に運んでいた。


・・実際はその指の一振りで火をおこせる事実と、ニコニコとご機嫌な表情から察するに、ただ単に温かいココアを楽しんでいるのだろうが。


ふう、


ゆっくりと一息ついた後、

彼は机の上に置いてある羊皮紙に目を向けた。


     
「・・“あの子”の所へ行ってもらうのは、ハグリットに任せるべきじゃろうな」



“あの子”を思い出したらしく、少し目を細めた。

ハグリットが迎えにいったとき、その子にどんなことをどんなふうに話すのかを想像したのかもしれない。

捕まえるのには、苦労をするかもしれんな・・

そう呟いて、窓のほうを向いたときだ。



ド―ン。




魔法薬作りに失敗したような爆発音がホグワーツ中に響いたかと、

ドドドド・・・と雪崩のような連続した音が10秒ぐらい鳴った。



ミネルバ・マクゴナガルはその衝撃音を研究室で聞いた。

セルブス・スネイプは自室で聞いた。

フィリウス・フリットウィックはレイブンクローの寮で。

シビル・トレローニーは金切り声を上げた。


ほかの教員達もそれぞれで爆音を聞いた。


音源なのであろう、湖近くの森へ向かうものもいた。

そして、その光景を見て愕然としたのだ。



___真っ白な大雪の中、

禁じられた森から魔物と呼ばれる動物が出てきていた。


湖の湖畔に、森の動物が群がっていた。

餌でもあるのだろうか。この真冬に。


姿現しをつかってそこに現れたのはアルバス・ダンブルドア。

ミネルバやセルブスに、ほかの教員達がここに集まらないように指示をしてあった。


白い息を吐き、なにかの魔法によって雪が吹き飛ばされたむき出しの地面の中央を見る。

どんどん積もってきているが、まだ砂色の地面が見えていた。

・・動物達が、何かを掘り出しているせいで。



「・・これは一体、何の魔法を使ったのじゃ・・・?」



雪に足跡をつけながら進むと、何かの気配を感じ取って上を見た。


空を飛び、地上に降りようとしているのは、鷲の翼と上半身、そしてライオンの下半身を持った―――真っ黒なグリフォンだった。



___黒のグリフォン!?



まっすぐに突っ込んでくるグリフォンを見て、何かを掘り返そうと躍起になっていた魔物たちが森に戻っていった。

これは賢明な判断だ。



「・・・!いかん」



もはや地上すれすれに接近したグリフォンの目的は、逃げ遅れたらしい雪の中に倒れている生き物らしかった。


しかもよく見ると人間のかたちをしていた。

ダンブルドアは袖からさっと杖を取り出し、それへ向けようとした。



『―――――――っ!』



そのとき、襲われかけているその人間が何かを叫んだ。


___当代随一の大魔法使いと呼ばれるダンブルドアですらも聞いたことの無い言語だった。



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