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『・・・・・・は?』



肩にざっくりと来るなあと思ったのだが、と雹は他人事のように正直な感情を呟きとして発した。

ビックバークのその爪は雹の肩を抉る寸前に側面からの衝撃によって方向を大きく逸らされ、宙を引っかいただけに留まったらしい。

クロックの、体当たりによって。



「キューア」

『あ・・・うん。助けてくれたのか。ありがとう』



ビックバークはその後クロックと前足で乱闘を繰り広げ、面倒になったのか途中離脱した。

生徒教師が揃って唖然としていると、クロックが褒めろと言わんばかりのドヤ顔で雹に顔を引っ付け始めた。



それに片言ながらも対応する雹の様子に、その場の空気がどっと緩む。

他のヒッポグリフたちは我関せずと向こうを見ていたがハグリットが首輪を一匹一匹にはめていく。

体験学習はこれで終わりらしい。






そんな中で、雹は二体のヒッポグリフに話しかけていた。

丁寧にお辞儀する。



『クロック、ありがとうな』

「キューァ」



にっこりと「気にするな、でも褒めろ」という顔をするクロックに優しく笑いかける。

次に雹は腕を掴んだままだった放心状態のマルフォイの頭をぐわしとつかみ、



『ビックバーク、マルフォイがすまなかった』

「・・・わっ!?何をす――」

『黙れ』



深々と一緒に頭を下げた。

ハッと気がつくマルフォイを文字通り捻じ伏せてビックバークへの謝罪をさせる雹。



空気が凍る。



抗議の声には答えず、問答無用とばかりにマルフォイの頭を膝に付くんじゃないかと言うぐらいに下げさせた。

雹自身の長い髪の毛が地面に付くが気にしない。



数秒の沈黙。

謝罪が気に入らないのであれば、その時は首を裂かれるという緊張。



(!)



と、雹は自分の頭にかかる影が動いたのに気が付いた。

すろりと顔を上げると、さっきまでこっちを見ていたビックバークはぷいっと向こうを向いた。

周囲が見守る中、ビックバークはそれ以上は無用と言うように踵を返し、どすどすと群れの中へ走っていった。

どうやら、許してもらえたらしい。






「おい!いい加減離せ!」

『あぁ?それよりも』

「ぐっ!?」

『クロックへの礼が残ってる。』

「何をする!」

『礼だ。さっさとクロックに礼を言え私が言っても意味がないだろう』

「・・・・・・ッ!」

『マルフォイ?』



「・・・・・・助かった!これでいいんだろう!」






はいはいよくできましたー。

やけになって叫んだマルフォイをやっと開放してやる雹の顔にはにやにやとした面白がるような表情が浮かんでいた。



最後にハグリットがクロックの首に首輪をつけ、授業は終了となった。








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