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ぐったり。

その一言が似合う様子で雹は教室を最後に出た。



あのあと、もちろんムーディは最後に≪死の呪文≫を披露した。

緑色の閃光が飛んだ瞬間、三匹目の蜘蛛は絶命。

見て気持ちの良いものではなかったしぞっとはした。

しはしたが、ほかの二つを見た時のように体中の先端が凍り付くような感覚にはならなかった。



ふー、とこっそり溜息を吐き階段から廊下へ下りれば、見知った顔が何か話している。



「ネビル、ひどい顔色よ」

「う、うん、大丈夫」



(・・・・・・)




ネビルと、隠しているけれどハリーも、俯いて口数が少ない。

そうだ。

周知の事実にあるようにハリーは≪死の呪文≫で両親を亡くした。

ネビルのご両親は≪磔の呪文≫によって拷問されて廃人にまったとまで聞く。

息子であるネビルが≪磔の呪文≫に過剰反応するのは当然だ。

人に危害を加えようとする恐ろしい殺気や禍々しい魔力に敏感なのだろう。




『・・・・・・。』




東洋魔術の教室への廊下を進みながら雹は考えた。



それならば、なぜだろう?

なんで自分はあんなに≪服従の呪文≫と≪磔の呪文≫に過剰に反応したんだろうか。

聞こえるものも見えるものも、感じるものすべてが180度反転したような感覚だった。

まるで、自分の体が自分のものじゃないような。



そしてふと気が付く。

傷みはなかったものの、いままでに同じような事がなかっただろうか。

似たような経験。

苦しみと同時に襲い掛かってくる違和感と疎外感。

なにかにたどり着くような気がするのに。

なにかが頭の隅に引っかかっているような気がするのだが、それが何なのかわからない。












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