桜 3 桜花雹が教師になった。 出席できなかったハリー・ポッターとロン・ウィーズリーは同級生が話してくれた新入生の歓迎会でのエピソードを思い返す。 大広間の朝食。 なかなか笑えない。 生徒たちに噂を聞くと、 「あんなにたくさん雹が話すのは始めてみた」とか「もう驚きすぎて何だかわかんないわ」という言葉が返ってきた。 気にはなるもののハリーとロンの二人は空飛ぶ車に乗って学校に来た上、窓から一瞬組み分けをのぞいたのみなのだ。 談話室にその人の姿が無いので訊ねたら「あの子は教師専用の寮に引っ越しちゃったわ」とハーマイオニーが教えてくれた。 教えてくれたはいいがどういうことなのだ。 雹が先生? ということは雹は生徒ではなくなったのだろうか。 談話室に帰ってはこないのだろうか? それにしても今年は初っ端から頭がいたい。 ハリーとロンはハーマイオニーの隣に腰掛けたが二人の登場の仕方をまだ怒っているようだ。すこし挨拶にトゲがある。 反対にヒーロー扱いするネビルやウィーズリーの双子の声にもうれしい反面、後ろめたい。 常に冷静で寡黙な雹の存在が恋しかった。 きっと雹ならごちゃごちゃ言う前に久しぶりだね一年間よろしくと言ってくれるはずだ。 『久しぶり。ハリー、ロン。』 そう、こんな風に――、 「え、雹!?」 「雹!」 始めて出会った時から切っていないせいで肩まで届くぐらいに伸びた黒髪。黄色い肌に黒い瞳。 それをみてハリーたちは声を上げた。 「ねえ雹!どういうことなの先生って・・・『東洋魔術』?だったかしら、聞いてないわよ!」 「そうだ!なんで教えてくれなかったんだ」 あっという間にみんなに囲まれた雹は疲れきった表情で話し始めた。 夏休み最終日に手紙が届いたこと。 大慌てで準備に取り掛かって今日の朝やっと終わったこと。 二日間ほとんど寝ていないので疲れているんだと普段から小食な雹はほとんど無に等しい量を体に詰め込み始めた。 雹の感情が外面に現れるところが珍しく、本当に疲れているんだとハリーたちはそれ以上聞くのをやめた。 「ね、『東洋魔術』って前から興味あったのよ、絶対受けるわ!」 『・・・ありがとう。いい授業が出来るよう頑張るよ。』 「楽しみにしてるわ!早く月曜日が来ないかしら」 そんなぐあいでうっすら笑いながら雹が返していたら、いきなり後ろからぴったり重なった声が聞こえた。 「「僕達も取るよ!」」 ロンの双子の兄貴だった。 きらきらと嬉しそうな顔をしている。 「期待してるぜ」 「そうそう」 「なんたって」 「「いたずらは僕らが大好き」」 あ、そう。 にっこりと雹がありがとうと笑えばいえいえとどこかへ去っていった。 そしたらそすぐ後にふくろうが飛び込んできた。 『・・・ロン、それ、早く開けた方がいい』 ふくろうが吼えメールをロンの座っているテーブルに落としていった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |