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「スリザリンとならんだわ!」


「あと一点ダンブルドアが入れてくれたら良かったのに!」


「ほんとだね」


「なぁ雹」


『・・・何言ってんのさ』






涼やかに見つめられ、しゅんと3人はなった。


たしかに自分達は夜中にベットを抜け出して闇の帝王から賢者の石を守ったりした。

本来なら、この前のとおり一人50点引かれる可能性だってあった。


ダンブルドアは太っ腹だ。

しかしそれを見越して、甘やかしてはいけないと判断なさったのだろうか?




「・・雹」


『なにかな』


「・・なんか怒ってる?」


『別に。』




ハリー、ロン、ハーマイオニーには

「なんでこの3人は自分達だけで抱え込んで解決しちゃうのかな。少しは相談に乗るのにさ。かなしいや」

と、隣の寡黙な同級生に言われた気がした。



よく見れば今この人はどこか控えめに哀愁を漂わせてはいないか。

そして良く考えればこの同級生は試験前の図書室や談話室で自分達の悪事を見抜いていた節がある。





「・・雹・・・」


『・・・今度は何』


「やっぱ君なんか怒ってるよ」


『ああ少しはこの理不尽に怒りを感じてはいるよ』


「理不尽?」


『なんで校長しか彼≠フ活躍を気付かないのかなぁって』


「彼=H」


『あそこの丸顔君。』









その時ダンブルドアが手を上げた。




「勇気にもいろいろある」





雹がハリーたちにしか聞こえない声で囁いた。


(そりゃ見当違いだったかもだけど)

(知ってるのは君たちだけなんだから)



「敵に立ち向かっていくのにも大いなる勇気がいる」



(どうせなら思いっきり驚きなよ。)








「しかし、味方の友人に向かっていくのにも同じくらいの勇気が必要じゃ」



(さあ、)

(主人公達!)







「そこで、ネビル・ロングボトム君に10点を与えたい!」








本物の爆弾やダイナマイトの爆発は聞いたことが無いが、

みんな魔法薬学や薬草学で呪文の失敗時の爆発なら聞いたことがあるだろう。


そのくらいの大歓声だった。

スリザリンをのぞく、レイブンクローやハッフルパフまで混ざっていたからから当然ともいえるけれど。






すぐにハリーたちは立ち上がって拍手を送った。


雹はくすくすと笑ってる。

スピューデファイをかけられたトロールの顔を思い出させるマルフォイの表情を見たからだ。



ネビルは驚きすぎて顔を見当違いにも青くしたが、

すぐにあちこちから抱きつかれて人の波に飲まれて見えなくなった。







ダンブルドアが声を張り上げた。



「したがって、飾り付けをちょいと変えねばならんのう」







雹の目にはそれが紅葉する秋色の様に見えた。


濃い緑の垂れ幕が真っ赤な紅色に染まり、銀の線が金のラインに変化した。

大蛇が消え、獅子が現れた。


想像以上に美しい光景に息を呑んだ。

きらきらと星が輝く。










(おもいきり嬉しそうな顔をしてよ。)

(どうやらそれが私の心の奥底の願いらしいんだから)




みぞの鏡で見た輝きを、

断片だけでも現実で見ることが

出来た気がした。






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あきゅろす。
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