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「・・君は、この鏡をどう思うね?」


『どうって・・どういう意味ですか?』



「たとえば・・この鏡がなぜ“みぞの鏡”と呼ばれるのか、それは分かるかね」


『のぞみ、を、みぞの、にひっくり返してるんですね。

溝にはまったように出てこられない、という意味もあるんでしょうけど。』



「・・・」




驚愕を覚えた。


この少女は、物事を客観的に、第三者視点で見たのだ。

11、12の少女の出来るようなことか?




「すつうを みぞの のろここ のたなあ くはなで おか のたなあ はしたわ=E・君はこれを読めるかね」



ダンブルドアは、鏡のふちに彫られている文字を読み上げた。



『この子供だましですか?』









子供だまし、と。

彼女は一瞥する。









『私はあなたの顔ではなくあなたのこころの望みを映す=E・こういった代物は謎めいた台詞が好きですね。』





『人の心に取り入るような物は恐れられるものなんでしょうね・・鏡に罪は無いのに。

でも校長がハリーにこれを探そうとしないように説得したことは否定しません。ロンが心配がっていましたし』



「・・そうか。・・では君は、それを覗こうとは思わんのか?」


『興味ないですね。』







現実にならない可能性の大きいものが映るなんて、虚しいだけです


そう言ってスッパリと終わらせる。

しかし言葉とは裏腹に鏡に近付いていった。






『校長は何が見えたんですか?』


「・・つまらんものじゃよ。叶うはずの無いものが見えた。」


『フゥーン・・さしずめ、“失ったもの”ですか。』





ダンブルドアとしては、さらりと心情を察してしまうこの少女には脱帽だ。

そして彼女の願いがどんなものなのか、好奇心が涌いた。




「・・何が見えたのかね?」


『白いご飯に海苔と出汁巻き卵と明太子を食べてる自分です』


「・・“傲慢”を自称する君がかい?」


『そーです。・・というのは嘘でして。』




バレバレな嘘。

わざと、分かりやすい嘘。









『ニッコニッコに笑ってるハリー達が見えますねー。

あと校長と教師達と見たこと無い人までみーんな笑ってますー。』


















笑っている自分、は見えなかったけど。





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あきゅろす。
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