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ハーマイオニーは家に帰った。

ドラコ・マルフォイも帰った。



グリフィンドールの談話室は広くなっていた。

もっとも人数が無いだけで騒がしいのはかわりがないが。



暖炉の傍の肘掛け椅子に何時間も座っているのはけっこう楽しいものだった。

暖炉の火に串に刺したパンやマシュマロやチーズを翳してあぶって食べるのと、

チェスをするのと、マルフォイを退学にさせる策を練るのがハリーとロンの話題だった。

そして雹はその隣で本を読んでいるのが日課だった。






「雹、その本なんていうやつ?」


『“陰陽術の歴史”。』


「??おもしろいの?ていうか“陰陽術”ってなに?」


『簡単に言えば東洋の魔術の一種かな。ここで学んでいることと似たこともあっておもしろい』


「へぇ」







≪私をそっちへ動かさないで!あそこにいるナイトが見えないのかい!?≫





ハリーが動かそうとしていた駒が叫んでごちゃごちゃ言い出した。

魔法使いのチェスというのは駒が本当に生きている1つの軍隊みたいなのだ。

ロンの年代物の駒。おじいさんのお古だそうだ。

初心者ハリーはシェーマスから借りたけど騒ぐ駒に翻弄されている。













そんなこんなで明日はクリスマス・イブ。

その前に校長からのお呼ばれ。





『・・“杖型甘草あめ”・・毎回思うけどなんで毎回一発で当たるんだろうね』




もはやお決まりのようにガーゴイル像が道を開ける。

校長室にはダンブルドアが一人だった。






『ご無沙汰しています、校長』


「おお、きおったか雹。」





そこに座りなさい、といわれて雹はちょこんとソファに座る。

冷暖房完璧管理の部屋だな、と思う。

ついでにスネイプがいないので落ち着いたくつろぎスペースに見える。

ごくんと紅茶を飲み込んで、ふとダンブルドアが思い出したように言い出した。






「そういえば、クリスマスじゃな。」








へ?と間抜けな声を雹は口にしかけた。

どんな話が始まるんだと思っていた開口一番がこれかよ。

大体ホグワーツ中がモミの木だらけなのだ。

今更何を、





「そこでじゃが雹、君はクリスマスに何が欲しいかね?」


『・・・・はい?』


「いや、最初はお菓子が良いかと思ったんじゃが食の好みを聞いてなかったのでな。悩んだ結果、ここはもう直接聞こうと」






・・そのためだけに校長室にお呼ばれしたんですか私は。

心の中でツッコミを入れる雹。







『や、私は』


「ん?洋服の方がよかったか。それでもサイズを聞かねば用意も」


『いえ結構です』







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