桜 4 「歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。 では、いきますぞ。 そーれ! わっしょい! どっこらしょい!以上!」 出席者全員が拍手喝采。 笑うべきか、どうするべきか。 とりあえず苦笑しながら手を叩く。 ふとみれば、カラッポだったいくつもの大皿が食べ物で一杯になっていた。 (・・油っこーい・・・) 産まれてこのかた油分や塩分の過剰摂取は体に悪いと常日頃教えられてきた雹はこれらは、パーティとはいえど限度があると思っていた。 ベーコン、ソーセージ、ステーキ、ローストビーフにローストチキン・・肉類、多すぎ。 ポテトやプディング、にんじんや豆もあるけど、ちっとも手がつけられていない。 英国の食生活ってこんなのものなのか? 1ヶ月はここで生活したが、まだ慣れていなかった。 小食な方でもないがここでは自分がすごいやせっぽっちに思える。 とりあえずレタスとベーコンを取ってパンと食べることにした。 健康的なものをすすんで取るのはいいはずなのに、悪いことのように感じてしまうのがイヤだった。 ほとんど首なしニックがおいしそうですねとステーキを切っているハリーに言っている。 どうでもいいけど食事中にべりっと首をはがすのはどうかと思うぞ。 驚いてる顔を見て嬉しがるのも。 ま、今年こそ、寮対抗優勝カップを獲得だーは賛成だけどね。 マルフォイを見ると、血みどろ男爵がすぐ隣に座っていた。 顔は嫌そうだ。 お腹がいっぱいになってきたがみんなまだ食べ続けている。 誰かに、きみ小食だねぇといわれたがどうもしない。 だって本当にお腹がいっぱいだ。 それに自分はバイキングで食べ過ぎて気分が悪くなるような子供ではない。 すくなくとも精神的には。 待っていたら食べ物が消えて、今度はデザートが現れた。 アップルパイやフルーツに混じって、ありとあらゆる味のアイスクリームがあったが、抹茶味のは無かった。少し残念だがバニラにする。 ・・和食が食べたい。 外国に行った日本人が言う理由が分かってきた。 あっさりしたものを食べたい。 そう考えていたら双子のウィーズリー兄弟が話しかけてきた。 「食べないのかい?美味しいよ」 「そうそう。食べるべきさ」 『いや・・私はいいです。胃が≪もたれそう≫で』 「?そう。」 微妙に日本語が混じった事を感じる。 英語を話せるようになってるが、外国に無い日本の単語は訳されないらしい。仕組みはよくわからないが、まあ問題はそんなにない。 そのうち、デザートが消え、ダンブルドアがまた立ち上がった。 「全員、よく食べよく飲んだじゃろうから、また二言、三言。新学期を迎えるにあたり、いくつかお知らせがある。」 一年生には構内の森への立ち入り禁止。 上級生に対してもだったが。(とくに雹の隣の双子兄弟をちらっと見ていた。) そしてフィルチの授業の合間の廊下での魔法禁止。 クィディッチのチームに入りたい生徒はマダム・フーチへ。 そして最後に、4階への立ち入り禁止。 「痛い死に方をしたくない人は行ってはいけません」 (脅しかよ) パーシーが何故理由を言わないかとしかめっ面をしていた。 知っているのは小数の教師と、物語を知っている雹ぐらいだろう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |