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「うわあぁっ」


おどろいて悲鳴を上げた生徒、飛び上がった生徒がいた。

ゴーストが、部屋を横切ってきたのだ。

それも、20人ぐらい。


(あーあー新入生びびらせて・・悪気が無いからやっかいなんだよね)


ほとんどは一年生達に見向きもしなかったが、太った修道士とかがハッフルパフで会えるといいですねーとか声をかけていた。

真珠みたいに白いゴーストたちの何体かが雹に気が付いてちょっとウインクしてきた。

それを見て、にこっと彼らに笑顔を返せば手を振りながら壁に消えていった。がんばってね、ということなんだろう。

最近仲良くなったのだ。

そこへ、マクゴナガル先生が戻ってきた。



「さあ行きますよ。組み分け儀式がまもなく始まります」



指示通りに全員が一列に並び、雹は一番後ろになった。

音を立てて大広間の扉が開いた。

後ろとはけっこう面白く、不安で緊張した顔を見られる。

上級生の顔は、新入生の数を数えてるらしい。

ハリーは黄土色の髪の男の子の後ろだ。

背中がとくにがちがち。

落ちつかなげに、上級生の視線から逃れようとしている。



「本当の夜空じゃないわ。魔法でそう見せてるのよ、『ホグワーツの歴史』に書いてあったもの」



ハーマイオニーらしき女の子の声がする。

天井自体が見えないんだけどね。

そう思ってるうちに、マクゴナガル先生が中央に椅子を置いた。

椅子の上には、つぎはぎのとんがり帽子を置いていた。


組み分け帽子。


ピクピク動き出し、やぶれ目が口みたく開いて歌い出した。



♪私はきれいじゃないけれど 人は見かけによらぬもの

♪私をしのぐ賢い帽子 あるなら私は身を引こう

山高帽子は真っ黒だ シルクハットはすらりと高い

私はホグワーツ組み分け帽子 私は彼らの上をいく

組み分け帽子はお見通し かぶれば君に教えよう 君が行くべき寮の名を                         

♪グリフィンドールに行くならば 勇気ある者が住まう寮                         
勇猛果敢な騎士道で 他とは違うグリフィンドール                         

♪ハッフルパフに行くならば 君は正しく忠実で                         
忍耐強く真実で 苦労を苦労と思わない                         

♪古き賢きレイブンクロー 君に意欲があるならば                         
機知と学びの友人を ここで必ず得るだろう                         

♪スリザリンではもしかして 君はまことの友を得る                         
どんな手段を使っても 目的遂げる狡猾さ                         

かぶってごらん! 恐れずに! 興奮せずに、お任せを!

君を私の手にゆだね(私に手なんかないけれど) だって私は考える帽子!




「僕たちはただ帽子をかぶればいいんだ!」


ロンがハリーにささやいた。

トロールと取っ組み合いをさせられるなんてデマを言ったフレッドをやっつけてやると決心していた。

ハリーは弱弱しく微笑んでいる。

自分はどこにも選ばれないんじゃないか、とか不安なんだろう。


(私だって、不安なんだけどね)


もしスリザリンに選ばれるんならそれはそれでいい。

少なくとも、自分がそこに合っているというわけだ。

行く場所が見つからない方が最も恐ろしく感じる。

マクゴナガル先生が長い羊皮紙を持って言った。



「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶって椅子に座り、組み分けを受けてください。――アボット・ハンナ!」


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