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「話は終わりだ。」



ルーピンが、今まで聞いたことも無いほど低く冷たい声で一言言った。

部屋の空気が肌を刺すように尖る。





「僕が話していないことはたっぷりとあるが、まずはしなくてはいけないことがある・・・このネズミに、正体を現してもらい、すべてをはっきりさせなくては・・・・・・」

「どうやって?」



すでにクルックシャンクスが察知し、シリウスとロンはすでに男がネズミに変身する様を見ている。

確認するまでもない。

ただ、ネズミのままでは話はできないし魔法省に突き出すことも出来ない。




「正体を現させる便利な魔法がある。――・・・ピーター?今なら痛い思いをする必要は無いが・・・どうだ?自分から現すつもりは無いのかい」

「さっさとしろ、リーマス」

「わかったよ――・・・・・・一緒にするかい?」

「そうだ。三つ数えたら――」



そこでブラックはハッと、自分が杖を持っていないと気がついた。

じろりとこっちを睨んでいるスネイプに目線をやると、叩きつけるようにして杖を渡されよろめく。

ハリーの杖だ。



スキャバーズがキーキー暴れる。

クルックシャンクスがブラックのそばから飛びのき、ハーマイオニーの元へ立った。



ルーピンとブラックは目配せをし、カウントを始めた。






「いくよ――いちーにのー、」



ガラスがバチンと音を立てて弾け飛び、杖から発射された二本の光線が宙に浮いたネズミを捕らえた。

一瞬その姿が見えなくなり、スキャバーズは床へぼとりと落ち、そしてまた光線の中に見えなくなる。

黒いシルエットがぐにゃりと不気味によじれた。



ハーマイオニーが悲鳴を上げた。

あまりにグロテスクな光景だったからだ。

スキャバーズ・・・否、ピーターが、声にならない悲鳴を上げているのがはっきりとわかった。

シルエットは色を持ち、人間の肌の色をした頭や腕が木の根っこのように生えて、最後に全身の関節を折り曲げて縮こまった小柄な男の姿が現れた。

ハーマイオニーの傍のクルックシャンクスが全身の毛を逆立てて牙をむき出した。



小柄な、ネズミっぽいにおいのする男だ。

そうハリーは思った。

栄養の足りていない夏休み明けのハリーと比べても、髪はパサパサで肌は全体的に黒く汚れ、萎びたカボチャのよう。

頭のてっぺんに禿げがあり、背丈はハリーやハーマイオニーと変わらない。

アズカバンにいたブラックとはともかく、とてもルーピンやスネイプと同い年には見えない。







「やあ、ピーター、暫くだったね」




にこやかに、朗らかに。

ルーピンが男に声をかけた。






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