桜
4
グリフォンは、王家を象徴する動物とされている。
鳥と獣、それぞれの王を組み合わせたことから王家。
その姿は王家を表すのにふさわしく、黄金色の上半身、純白の下半身なはずだ。
___なんで私、こんなのを夢に見てんだ?
真っ黒なグリフォンなんて。
不吉もいいとこじゃないか。
そうこう思ってるうちに、どんどん接近してくる黒グリフォン。
___グリフォンは砂漠の生き物じゃなかたっけーぇぇ 私黄金を掘り起こしたりしてませんよぉぉぉーーー
あの爪に掴まれたら確実に逃げられないだろう。
怖い怖い怖い。
ぎりぎりで破れかぶれになってさけんだ。
『来るな!!』
ーーーー
___今のはなんだ?
あそこに倒れていた一人が短く叫んだとたん、黒のグリフォンは消えた。
否、消えたのではなく、なにかに弾き飛ばされるようにして空へ戻され、見えなくなった。
・・・あそこに倒れているのが、何かしらの術を使ったのか?
「校長」
立ち尽くすダンブルドアのうしろに、いつの間にか現れていた黒髪の男はスネイプ。
マクゴナガルもいる。
ざくざくと雪を踏みながら会話をする。
「校長、これは一体・・・」
「マクゴナガル先生、マダム・ポンフリーに連絡を。まずは怪我人の手当てじゃ」
「校長・・あれはどうみても侵入者では?見ず知らずの怪しい人間に手を貸すのは賛成できませんな」
「セブルス。言いたいことはわかる・・しかし」
ほとんど雪に埋もれているそれに近づいてしゃがみこみ、しわだらけのその手で顔があるのであろう部分に手を当てた。
気を失っているのであろう。ピクリとも動かない。
「見なさい」
ぼとぼと音も立てずに雪が落ち、埋もれていた顔が露わになる。
___それは
「まだ子供じゃ」
___ほんの、少女だった。
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