□勝手にしてくれ
*
「おう、昭宏〜!ボコられたか〜?」
教室に戻ってきた俺に浴びせられた第一声。
俺のマブダチである悠太は至極楽しそうにそんな事をのたまりやがった。
睨む事も出来ないほど精神的に病んでいる俺はふらふらした足取りで自分の席につくと顔面から机に倒れた。
「うぉっ!いきなりどしたん!?」
「・・・死亡フラグが」
「は?死亡フラグ?
ギャルゲーでそんな悲惨なエンディングを迎えるシナリオなんかあったのか?」
「うっ…ううう…悠太〜」
「お、おい!ほんとどうしたんだよお前!」
いきなり泣き出す俺にあわあわと慌てふためきだす悠太。
周りも驚いた目で見てたけど今の俺にはそんな事気にしてる余裕など毛頭ないね。
「何、どっか殴られたのか?
泣いてばっかだとわかんねぇだろ?」
な?昭宏?。と、優しい口調で子供に言い聞かすように言う悠太。
・・・悠太…。
今更嘘泣きでしたなんて言えねぇ…。
罪悪感に苛まれた俺は机に突っ伏したまま顔を上げる事が出来なかった。
「お前が話したくなるまで待つよ俺」
ぐ・ぎゃああああ!!
なんか痛い痛い痛い!!!
胸の辺りがなんか痛い!!!
「ごめん悠太!!
嘘泣きです!!
嘘泣きなんです!!
本当にごめ゛な゛ざい゛!!!」
良心に耐えきれなくなった俺はガバッと顔を上げて泣きながら悠太に謝罪した。
「あはは、嘘泣きかよー。
俺マジでビビったんだけど」
「悠太゛…。」
俺が本当に泣き出したので背中をよしよしとさすってくれた。
なんて良い奴なのだろうか。
悠太みたいな友達を持てて俺は幸せ者だよ!
「ちょれーな…(ボソ)」
「え゛っ?何か゛言った゛?」
「ううん、何も。
それより昭宏チーンしようね〜?」
「チーン」
俺の鼻をティッシュでかんでくれる悠太は俺には勿体無いぐらい偉く出来た友人である。
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