見える先に向かうだけ!
【チカラ】を使うぜ! 1
まず祐樹は、荒木の周りに水の壁をたてた。
「これでアンタは逃げられないし、俺のところにも来れない」
「キッ……!」
祐樹はさらに水を操り荒木に近づける。
「このナイフも没収な、どうだ?生徒にコケにされる気分は」
「殺す…」
「さて、アンタには俺の質問に答えてもらう」
「こ…ろ…す…」
祐樹は水を固め、荒木を縛り上げた。
「すげーな、水が何にでも変わりやがる。あ、今アンタを縛ってるのは水の縄だから、どうだ?抜けられないだろ?」
荒木は抜けようとしているが、祐樹の言ったとおり抜けられないようだ。
「よし、話を聞いてもらおう。まずは荒木、俺をおそうのはアンタの意識か?」
「殺ス…」
「しゃあねぇ、もちっと縛るか」
縄がさらに縛られる。
「苦しいだろ?それ以上されたくなかったら答えろ」
「俺は…荒木…荒木正人…」
「年は?」
「17……」
(高校の時に残した怨念にとり憑かれてるか…。そんなことってあるんだなー)
祐樹はのんきにそんなことを考えていた。
「じゃあ荒木先輩だな、先輩はどうして俺を襲うんですか?」
祐樹は下手に出て話を聞く。
「貴様は俺を不快にさせる奴らの仲間だからだ…」
「へぇ、その不快にさせる奴らってどんな人たちなんですか?」
「あいつらは全員女がいる…女に俺が哀れな目にあってるのを見せ、喜んでいる…」
「俺はそんなことしてないですよ?」
「嘘をつくなッ!!貴様もどうせ高梨に俺の悪口を言っているのだろう!!」
「うわー、すげー被害妄想。…じゃあ俺は先輩にとって憎むべき存在なんですね?」
祐樹はわかりきっているが改めて確認しにいった。
「ああ、憎い。憎い憎い憎い憎イ憎イ憎イ!!」
「へぇ、だから俺を殺そうと?」
「憎イ…、殺ス…」
「殺されるのはヤダなぁ〜、だから殺される前に荒木ごとあんたを殺そう」
祐樹は縄を首にまで増やし、さらに締め付け始めた。
ミシミシミシ…
体中の骨が悲鳴をあげている。
「さあ死ね!…ん?」
祐樹は荒木の方を見て首を傾げた。
なぜなら荒木の顔にはすでに生気がなく、息をするため口を大きく開けたまま固まってしまっていたからである。
「ん?死んではないけどなにが起きたんだろ?」
祐樹は試しに荒木の体を揺すってみた。すると−−−
「う゛ぁぁぁ」
「うぇ!気持ち悪ッ!」
荒木が開いた口から黒い煙が吹き出した。
「なんだ?これ」
煙はどんどん出てきて、やがて人の形になった。
「いや、マジでなに」
祐樹は突然のことに混乱していた。すると、その人型の影が話し出した。
『綾戸…貴様は必ず殺す…』
「その声…荒木か?」
『コロス…』
(体を縛ったときに中にいた高校生の荒木が出てきたとかそこらへんかな)
祐樹は影が荒木の怨念だと見破り、戦闘の構えに移った。
「よし、いいぜ。お互い普通の人間じゃないんだ、超常現象起こしまくって戦おうぜ!」
祐樹は影に向かってそう言い放った。
まずは影が動いた。どこからともなく黒い剣を出し祐樹に向かって走り出す。
「あんた元は荒木なのにそんなことできんだな!」
『コロス…』
祐樹は川の方に走り、水の上へたつ。
「まあただの影じゃ水には乗れないだろうな、俺の勝ちだ」
だが影は川の縁で止まり剣を伸ばした。
「おぉ!その剣伸びるのか!」
影は伸びた剣を振り、祐樹を斬ろうとする。
だが祐樹は先ほど使った壁と同じようなものを作り自分の身を守った。
「いいね!普通の人じゃ絶対出来ねぇ戦いがこんなに楽しいとは思わなかったぜ!よし、俺も剣を…と」
祐樹は水の剣をすぐに生成し、影の方に斬りかかった。
影は斬られまいと自分の剣を盾に変え身を守る。
「へぇ、すごいな。あ、面白いこと思いついた!」

[*前へ][次へ#]

10/17ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!