見える先に向かうだけ!
一件落着…?
旧校舎の資料室には現在教師と生徒がいる。互いとも相手を睨みつけたまま動かない。
祐樹が先に口を開いた。
「あんた本当に荒木かよ」
祐樹はずっと疑っていた。荒木の表情、言動、態度、そして腕力を。祐樹の知っている荒木からはとても想像できないものだった。
「ああ、俺は荒木、荒木正人……。貴様はもう担任の顔忘れたのか」
(絶対ちげぇッ!!)
祐樹は心の中で叫んだ。そしてさらに質問をする。
「どうして俺達を襲った」
「俺達?俺は初めから貴様しか狙っていない」
「じゃあ質問を変える、なぜ俺を襲う」
「ククク……決まってんだろ……。 貴様が恨めしいからだッ!!」
叫びながら荒木は祐樹に殴りかかる。
「おっと、あぶねぇなおっさん」
今度は殴られない。顔を少し動かしてよける。
「おいおっさん、俺はべつにあんたになにもしてねぇぞ」
「貴様の普段の生活態度が気にいらねぇんだよ……ハァッ!」
そしてまた殴りかかる。
「おいおい俺がなにしたってんだよ…、っと」
祐樹は軽く避ける。
「さて、次は俺の番だ」
祐樹は目を細め今までとは比べものにならない眼力で荒木を睨む。
「ッ!だァッ!!」
荒木は一瞬怯みながらも祐樹に襲いかかる。
「フン、そんなパンチが俺にとどくと思っているのか」
祐樹は呟き一歩下がる。
「右腕だけで十分か」
祐樹は拳を握り向かってくる荒木の顔面を思い切り殴りつけた。
「ガ……フッ……」
荒木はそのまま気絶し倒れた。
「ふぅ……。あ、歯とか折れてないよな」
幸い歯は折れていなかった。
「んー、めんどくさいしこのまま置いて教室に帰るかな」
祐樹は気絶した荒木を放置したまま教室へ帰っていった。

教室に帰るといつものにぎやかさの中、橘と紗耶が祐樹のもとに駆けてきた。
「祐樹!大丈夫だった?先生は?先生はどうしたの?」
「ん?殴ったら沈んだから置いてきた」
「綾戸、高梨さんの言ってる話は本当かよ」
「あぁ本当だ、襲ってきた。あ、ちゃんとした理由聞いてなかったな〜」
「ま、また襲ってきたらどうしよ…」
「大丈夫だ、あいつ見た目通りすんげー弱いから」
「そ、そうなの?」
「ああ、いざとなったら俺が守ってやんよ」
「わ、わかった…ありがと…」
「………」
気付けばクラス中が祐樹達の方を見ている。
「え、なに」
「綾戸〜」
そのとき一人の少女が話しかけてきた。
「な、なんだよ田代」
「公衆の前でイチャイチャするのはどうかと思うよ〜?」
「イチャイチャ?誰と誰がだよ」
「あ、綾戸、あんた本気で言ってるの…?」
「?なにをだよ」
その瞬間、その場にいた全員が思った。
(こいつは…敵だッ!!)
クラス全員が祐樹をにらむ。
「え?なに?なんなんですか?さ、紗耶?どした?」
祐樹が紗耶に声をかけたとき涙目でこう叫んだ。
「祐樹なんか…大っ嫌い!!」
祐樹は顎に痛みを感じながら気を失った。

次に祐樹が目を開けたとき保健室にいた。
「あれ…デジャヴ…」

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