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《心は不実》
―ちあき視点―


――学校にて。

ファンクラブとの問題は雅治のおかげで解決出来た。平和な学校生活が帰ってきたかと思うとそうでもない。

ブン太との問題が残ってる。

どうやらブン太は雅治を認めていないみたいでどこか敵対してる。


「させるかっ!」


体育の授業中でバスケをしてるんだけど、ブン太は雅治に食ってかかってる。

それを見ていた響が笑う。


「男子は元気だなー」

『ブン太一人で走り回ってるようにも見えるけど…』

「なんで仁王にあんなアタックしてるんだろう。」

『さぁ?』


ブン太は雅治が好き(友達として)だから、私に取られてヤキモチ妬いてるのかも。

それだけじゃなくて、妹分だった私を雅治に取られてちょっとヤキモチなのかも。


「だぁ!クッソー!仁王にまた抜かれたー!」

「ブンちゃんに負けるわけいかん。」

「おまえのその人を見下した態度大嫌いだぁ!」

「子供みたいじゃのう。」

「うっせー!…ほあ!?」


ドンッと大きな音を立てて、ブン太が転倒してた。それを見たおじいちゃん(体育教師)がホイッスルを鳴らした。

タイムだ。


「大丈夫か?」

「ってー…足捻ったかも。」


足を捻ったというブン太の周りにチームメートや雅治が近づいて心配してた。

ブン太は足首を動かそうとしてたけど足が痛むのか顔が歪んだ。


「よそ見しとうからじゃ。」

「してねぇよ!つか、してたのおまえだろうが。」

「ちあきのことなんか見てませんー」

「絶対見てやがったろ!」


なんの話をしていたのかはわからない。女子の試合は続いていて雑音に掻き消されて聞こえなかった。

悔しそうな表情を浮かべたブン太は雅治になにか言うと立ち上がろうとしていた。


「世話がやけるのう。」


ふと笑い、雅治がブン太の腕をひいて立たせた。でも、ブン太は足を痛めているからバランスを崩して前に倒れかかった。

それを前で屈んでた雅治が背に載せた。うまく受け止めたと言うべきかもしれない。


「おい!なにしてんだよ!」

「なにって…おんぶ、」

「んなこと聞いてんじゃねぇし!」

「おまえさんを保健室に連れていくん。」


雅治におぶられたブン太はどこか不満そうだった。ブン太は雅治に対抗してるから、彼に助けられることが気に入らないみたいだった。

先生に承諾を得たのか雅治はブン太を保健室に連れていくのに体育館を去った。

それから二人がどんな会話をして、どうしたかはわからない。


「なぁ…仁王?」

「なん?」

「…ちあきと付き合ってんの?」

「いや?」

「そっか…」


しばらくするとブン太が足を庇いながらゆっくり歩いて雅治と帰ってきた。

私は試合をしていたけど二人に手を振ってすぐに試合に集中した。


「ちんたらしてたら俺、ちあきにアタックするぜ?」

「ライバル発言か。それでこそ俺んブン。」

「怪しい発言すんな!」

「間違うた。俺ん友達のブン。」


なんかわからないけど、楽しそうにしている二人を見て安心した。

私が二人の関係を崩したんじゃないかと思ったから。


「ちあきー!」

『ん?』

「今日の帰り、仁王とケーキ食いに行こうぜ!」

「丸井!今は授業中だ!」


ブン太は幼い時からの特別な人。雅治も最近知って仲良くなった特別な人だから二人と一緒にいられて嬉しく思う。

女友達みたいに気楽だけど、男の子だと意識してドキドキしてるなんてね。


『(ブン太の優しさに甘えて過ぎてるのかな?)』


でも、それが苦しいと思う日が来るなんて夢にも思わなかっただろう。

警告は景吾から受けていたのに。





――授業後。

ふと雅治が思い出した行事の話を彼はし始めた。


「そんなことよりブン。合宿の買い出し行かんの?菓子いるじゃろに。」

「え?合宿いつだっけ?」

「今週末、」

「はぁ!?明日じゃんかよ!準備してねぇよ〜」


ブン太が前々から支度をするとは思えない。それがお気楽B型だからだとしたら、B型の私も間違いなく――


『(私もだ…)』


忘れてただろう。

いや、忘れていたわけじゃない。ただ、つい後回しにしてただけ。(人はそれを忘れていたという。)





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